石橋湛山賞
 

2002年(第23回)の授賞作

植草 一秀 氏(野村総合研究所主席エコノミスト)
『現代日本経済政策論』(岩波書店 2001年9月刊)

 2002年度も300人余りの有識者アンケートによる25点の候補論文・著書のなかから予備選考を行い、厳正な審査の結果、最終的に植草氏の『現代日本経済政策論』に決定した。植草氏は、90年代初めから今日に至る長期不況の原因を歴代政府の「負のケインズ政策」による失政と断じて、厳しく批判し、日本経済が成長軌道に復帰するまでは拡張的な財政金融政策を維持するべきであると一貫して主張してきた。受賞作は、そうした著者年来の主張を豊富な資料と経済理論で裏付け、体系化した労作である。とりわけ、ケインズ経済学の有効性を論証しつつ、すぐれて実践的な政策論であることに加えて、政策形成への国民参加を促すなど、真摯なリベラリズムへの姿勢が各選考委員の高い評価を得た。