制作:東洋経済広告企画制作部

グローバル経営戦略フォーラム クロスボーダーM&Aと買収後経営

基調講演/特別講演I・II・III

パナソニック電工 「共存共栄のM&A」 〜インドアンカー社買収に見るM&A戦略〜

パナソニック電工 執行役員 アジア・オセアニア・中近東・アフリカ地域総括 アンカーエレクトリカルズ会長 有井 利英氏

 続いて講演に立ったのは、パナソニック電工執行役員で配線器具インド最大手のアンカーエレクトリカルズ会長有井利英氏だ。パナソニック電工は売り上げの大半を依存する国内建築市場が伸び悩む中、中国、アジアに続き今後急激な成長が見込まれるインドに07年アンカー社の買収を通して参入。複数の企業が名乗りを上げた落札競争を勝ち抜くことのできた理由を有井氏は次のように語った。

 「配線器具で創業し電材総合メーカーを志向する経営モデルが似ていたのはさることながら、最後はやはり社長の強い意志と将来を見据えたビジョンが効いた」。現在は、月次決算や受発注管理のオンライン化など日本では当たり前となっている業務フローを導入しながら、現状に即した生産体制、販売網の再構築を進める。

 「買収後も継続して投資が必要なこと、本社と結束して本気で経営に取り組むことがポイント。あとは実践に次ぐ実践」と現地にコミットする重要性を強調した。

ウシオ電機 「光専門メーカーとしての海外展開とM&A」

ウシオ電機 代表取締役社長 菅田 史朗氏

 事例としては最後の講演となったのがウシオ電機。海外売上高比率は70%と極めて高く、80年代から業績に関係なく継続してM&Aを実施してきた。「『光』関連分野に特化し、欧米企業を中心に20年間で20件。どれも友好的買収で、すでに取引実績があったり、経営後継者難の企業が多かった」と語るのはウシオ電機の代表取締役社長菅田史朗氏だ。同社では創業以来、ピラミッド型経営ではなく分社化を進め個々の自主経営を尊重する連邦型経営を推進。それは買収先企業においても同様で、経営陣や幹部の継続採用など自立と連帯を基本としてきた。

 今後の展開として同社は、M&Aの対象国を新興国に拡大。「基本は『光』としながらも、高付加価値な新規事業の展開へと結びつく案件も検討したい。さらに各地域のトップの現地化、人材の相互交流も促進していく」。また本社での外国人採用を増やし真のグローバル化を進めたい、と意気込みを見せ講演を締めくくった。

 具体的な案件に基づく課題、解決策そして今後の戦略は、多くの来場者に示唆を与えたことだろう。