制作:東洋経済広告企画制作部

グローバル経営戦略フォーラム クロスボーダーM&Aと買収後経営

パネルディスカッション

クロスボーダーM&A戦略と買収後経営

「クロスボーダーM&Aと買収後経営」をテーマとした「グローバル経営戦略フォーラム」の最後のプログラムはパネルディスカッション。
クロスボーダーM&Aを実践する側とサポートする側から6名のパネリストを得て、予定の1時間半はあっという間に過ぎ、クロスボーダーM&Aで成長戦略を描いていくうえで極めて示唆に富む内容となった。

クロスボーダーM&Aの歩みと そこから学んだこと

 議論は、クロスボーダーM&Aの歩みと、そこから学んだことのプレゼンテーションから始まった。

 まずスピーカーとなったのは、早くも1970年代に欧米でのM&Aを本格的にスタートさせたDIC執行役員の中西義之氏。DICは1980年代後半に米国の2社を大型買収したが、1社がその後本体の業績に大きく貢献したのに対し、もう1社は売却に至ったという内容が関心を集めた。その主な理由は土壌汚染に起因する公害訴訟など、リスク分析の不備と適切な現地経営トップの不在による経営の行き詰まりだが、当時はグローバル経営のグランドデザインが整わないまま、M&A自体が目的化し、先行していった感があるという指摘もあった。

 次いでプレゼンテーションに立ったのは、1989年にカナダの小麦粉製粉会社を買収した日清製粉取締役社長の佐々木明久氏。この約20年間で販売規模が買収時の5〜6倍になったばかりでなく、多くの海外事業経験者が育ったという報告があった。成功の鍵として、社名を残すなど経営の継続性をアピールし、カナダ側と極めて良いチームワークが組めたこと、現地の社外取締役に恵まれたことなどが挙げられ、振り返れば、買収した会社を助けつつ、逆に多くを学んだという感想が述べられた。

 最後は2005年にクロスボーダーM&Aに着手したNTTデータ執行役員の西畑一宏氏。冒頭、世界のITサービス売上の9位にあるが94%の売上が国内であり、グローバル化は不可避という認識が述べられた。そのために顧客基盤をもつパートナーに対するM&Aと二次買収で、海外ビジネス基盤を拡充し、またSAPをグローバルに提供できる体制を整えていること、その後はSAPのようなソリューションを持つ方針が示され、買収した企業とは仲間として戦略を共有し、ワンチームでやっていくという基本姿勢が語られた。