制作:東洋経済広告企画制作部

グローバル経営戦略フォーラム クロスボーダーM&Aと買収後経営

協賛企業講演II

シナジー創出を目指すために

 掛け算型M&Aの価値は、統合シナジーを創出するアセットを見極め、戦略からオペレーションまでを再構築するところにある。顧客基盤を生かした販路拡大やクロスセルの実現、製品やサービスのポートフォリオを多様化するなど、シナジーを創出する方法はさまざまだ。ここで注意すべきことは、新しい掛け算形M&Aを行うのであれば、考え方も変えなければいけないということだ。

 「現状は、業績の悪化している企業を対象に、いい出物があれば単発的に買うという再生型の考え方が中心です。けれどもシナジー創出を目指すのであれば、優良な企業を対象に、中長期的な戦略のもとで考える必要がある。買うことだけでなく、提携や合弁なども視野に入れて戦略のフレキシビリティを担保すべきです」。

 ここで最も重要なのが、ビジネスデューデリジェンス(BDD)の視点だ。事前にBDDを行い、中期戦略的にシナリオを書く。それを間違えると、いい出物を買うという旧来のモデルに退行してしまう危険がある。そこに留意したうえで、マイナスの回避、シナジー創出、ベストプラクティスの実現という三つのステップで、統合を検討することが重要になるのである。

 こうした点を踏まえ神馬氏は、コンサルタントとして日本企業のM&Aに日々かかわっていて体感した日本企業の課題をいくつか挙げた。たとえば、参入する市場に対する戦略の策定、買収先企業のリストアップ、事前のBDD実施などで、グローバル企業とは大きな差があることだ。また近年はM&A後に事業の分離・売却が大きなテーマになることが多いのだが、日本企業の場合、人の問題も含めてそうした経営の意思決定が苦手で時間がかかるという点だ。

 さらに神馬氏は、「日本企業が継続的に成長していくためには、戦略人材の確保、新興国企業を対象にしたM&Aの場合の相手先情報の不足、GOMを実現する経営基盤の整備不足が大きな課題になります。その意味でトランスフォーメーションを得意とする戦略パートナーの活用が欠かせません」と強調した。

 足し算型から掛け算型へ。企業力を高めるためのケイパビリティとして、これからはM&Aを徹底して戦略的に考えなければいけないということである。 シナジー創出を目指すために