茨城から聞こえる未来への鼓動
制作・東洋経済広告企画制作部

セミナー報告

 11月24日に開催された「いばらき産業立地セミナー」の基調講演で、早稲田大学の榊原英資教授は、現在の世界同時不況は従来の景気循環論では説明できないと指摘。「世界経済に大きな構造変化が起こっている。産業のカタチそのものが変わると認識しなくてはならない」と強調した。その上で、日本の製造業が持続的に成長を果たしていくためには、世界経済成長のエンジンである中国やインドを視野に入れた「本気の国際化が必要だ」と続けた。茨城県への立地を考慮する際にも、その先にある「グローバルでどう闘うか、という視座が欠かせない」とも言及した。
 橋本昌知事は、「茨城県では、高速道路や港湾などの整備が急速に進むとともに、昨年12月にはJ−PARC(大強度陽子加速器)が稼働するなど、グローバルな競争に打ち勝つための企業環境が整いつつあります。法人事業税や不動産取得税の課税免除に加え、この度、公共工業団地の販売価格を一部見直すとともに総額10億円の補助制度を創設いたしました。是非、多くの企業に茨城県に来ていただきたい」と挨拶した。

グローバル販売20万台戦略のベースキャンプに

日野自動車 鈴木敏也 執行役員  茨城県古河市への立地に向け準備を進めている日野自動車の鈴木敏也執行役員は「世界の日野をめざして〜グローバル戦略と茨城」と題して特別講演を行なった。
 日野自動車の主力商品であるトラックは、資本財という性格上、需要国の発展ステージによってニーズが大きく異なると指摘。廉価で積載量の大きさを重視する国がある一方、用途別に専門化が進み、環境側面などの社会的な要請を重視するレベルまで実に幅広い。販売に占める海外比率を高めている日野自動車でも、さまざまな経済環境にある各国からのニーズに対応する幅広いラインアップは必須となる。が、グローバル生産体制の鍵は、あくまでも日本だ。
 世界24カ国に生産拠点を構えているが「どこも組み立てが中心で、日本からユニットを送るノックダウン生産となっている」とし、「日本国内の新しい生産拠点は最先端の生産技術を磨き上げ、日本品質を向上させていくグローバルな拠点として機能させなくてはならない」と語った。一方、 用途によって荷台などを積載して完成車となるトラック生産のプロセスでは、架装メーカーとの緊密な連携も欠かせない。 セミナーには首都圏の製造業や物流業
などを中心に258社372名が参加した そこで、本社のある東京日野市にも近く、架装メーカーや部品メーカーが集中している関東圏に新しい拠点の候補地を絞り込み、茨城県古河市を選ぶ。
 講演のなかでも鈴木執行役員は「アクセスが確保されたうえに、これほど大きな四角形が確保できる65万平方?もの広大な土地がよくあったものだ」と驚きを隠さなかった。しかも、圏央道の開通など高速道路のアクセスが整備されれば本社から60分圏内に入り、「時間、距離ともにたいへん短い」と茨城県古河市を選定した理由を続けた。このほか、インフラ、労働力の確保、従業員の生活環境などを「総合的に判断 した結果」とのこと。日野自動車が掲げる、グローバルで20万台を販売するという経営目標に向け具体的な進出時期は明言しなかったものの「新しい拠点をベースキャンプにしていきたい」との力強い言葉で講演を終えた。
いばらきの工業団地
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工場立地面積全国一位 茨城県はなぜ選ばれるのか