制作・東洋経済広告企画制作部

茨城から聞こえる未来への鼓動

金融危機をきっかけとして、以前の判断基準なりモノの見方を変えた人は少なくないだろう。企業も例外ではない。今回の危機が去った後には、今までとは異なる風景が見えてくるに違いない。新たな成長戦略を構想し、その後を見据えた布石を打つにしても、これまでとは異なったレベルで精緻なフィルタリングを繰り返しているはずだ。しかし、まさにパラダイムが変容しつつあるなかで、変わらない流れも存在する。企業立地の最新動向を見ると、相変わらず茨城県への企業進出が際立った数値を示している。事業を再編、集約するうねりのなかでも、未来への飛躍の場として茨城県を選択する企業が後を絶たない。だからこそ、こう言えるのではないだろうか。新しい視座から評価しても「やはり茨城」だった、と。


未来を創りだす多彩な新潮流

茨城県地図 茨城県を舞台に、象徴的な動きが相次いだ。鉱山向け大型機械の着実な需要の拡大を背景に、コマツは輸出が主体となるタイヤ式の大型機械の生産を、2007年より常陸那珂港区に近接する茨城工場で開始。世界経済の動向を視野に入れ、環境を意識した結果、国際港湾である常陸那珂港区の魅力が浮き彫りになったのだと理解できる。 常陸那珂港区、大洗港区とともに茨城港として新たなスタートをきった日立港区では、メルセデス・ベンツ日本に加え日産自動車も利用を表明するなどビッグニュースが続く。あらためて、臨海エリアの価値を再認識せずにはいられない。
 臨海エリアといえば、日本を代表するコンビナート地帯、鹿島エリアでも太陽電池のキーデバイスであるポリシリコンの生産拠点が動き出す。チッソ、新日鉱ホールディングス、東邦チタニウムが出資する新日本ソーラーシリコンは、当初の生産計画を上方修正しての操業開始。鹿島の地の利、優れたインフラをベースに、旺盛な需要を取り込んでいく。
コマツと日立建機の輸出拠点として注目を集める国際港湾の常陸那珂港区。最新鋭の国際海上コンテナターミナルを有するばかりでなく、北関東自動車道に直結した抜群のアクセスが魅力だ
メルセデス・ベンツ日本は新車整備センターを日立市に集約。日産自動車も栃木工場で生産した車両の北米向け輸出港として日立港区を利用するとのこと。日立港区は自動車の輸出入基地として存在感を強める
安価なユーティリティー環境と首都圏とのアクセスが鹿島エリアの価値を高めている。成田へのアクセスもよい

 日立エリアからもニュースが舞い込んできた。日立ビークルエナジーがハイブリッド電気自動車用リチウムイオン電池の量産ラインを完成させた、とのこと。世界トップレベルの量産能力を誇る「第3世代品量産ライン」は2010年から本格的に生産を開始する。
 つくばエリアも負けてはいない。新エネルギー・産業技術総合開発機構と産業技術総合研究所は、ロボットの安全基準を作り、国際標準化を目指す研究拠点を整備すると発表。つくば市内では介護用ロボットのベンチャー企業も注目を集めており「ロボットの街」という新しい顔が全国区となる日もそう先の話ではないだろう。一方、大鵬薬品は抗がん剤の開発拠点を新設する。未来を見据えた、さまざまなセクターの挑戦が、つくばそのものの価値を高めていくに違いない。

「やはり茨城」の理由を解き明かす

 太陽電池と電気自動車、そしてロボットという新しい時代を象徴する拠点をはじめ、未来を創りだす企業が茨城県を選択している理由はさまざまに考えられる。まずは、その地理的優位性だ。東京から30キロメートル〜150キロメートルに位置する茨城県には、4本の高速道路が縦横に走る。つくばエクスプレスと常磐線の鉄路が首都との間を結び、二つの重要港湾はグローバルなロジスティクス構築に寄与している。

高速交通ネットワークが、茨城県内の多彩な拠点を有機的につなげる。首都圏へのアクセスが確保された比較的安価な土地が注目されている  2008年12月には、北関東自動車道によって常陸那珂港区と東北自動車道が直結。たとえば、宇都宮と常陸那珂港区間の所要時間は約1時間となり、従来の半分となった。東関東自動車道水戸線は、2010年3月の茨城空港オープンに合わせて北関東自動車道の茨城町JCTから茨城空港北ICが開通予定。さらに、鉾田ICから潮来ICまでが整備計画区間に格上げされた。2009年3月に阿見東ICと稲敷IC間が開通した首都圏中央連絡自動車道によって、つくば市内と成田空港間の所要時間も短縮。今年度中につくばICまで延伸する予定だ。陸・海・空のイン フラが相乗効果を発揮するよう、着実に茨城県の地図が上書きされ続けている。

 こうしたなか、常磐自動車道と北関東自動車道がクロスする茨城中央工業団地には、カジュアル衣料のポイントが物流拠点の新設を決めた。これからの時代、物流戦略を構築する際に環境への配慮は必須のチェック項目となる。と同時にコストの削減も譲れないだろう。その点、首都圏へのアクセスが確保された茨城県ならば、スムーズな移動の実現によってトータルな環境負荷を抑制し、比較的リーズナブルな土地の価格設定が、環境と経済性を両立させるはずだ。

リチウムイオン電池から新薬の研究開発をはじめ、J−PARCの可能性は計り知れない   このほか、県内に活断層がないという自然災害リスク上のメリットも大きい。事業継続計画をはじめ、産業界にリスクマネジメントの意識が浸透するなかで、あらゆるリスクが比較検討されているからだ。もちろん、厚い産業基盤、先進的な研究機関の存在も大きな引力になっている。2008年12月に供用を開始した東海村の大強度陽子加速器施設 (J−PARC)では、茨城県が施設内の中性子ビーム実験装置2本を整備しており、企業における研究開発の強力なインフラとなる。ここから届く、ブレークスルーの吉報に期待したい。

2010年3月11日に開港予定の茨城空港。ソウル(仁川国際空港)便を就航するアシアナ空港に加え、チャーター便運行も発表された  未来への挑戦を応援するさまざまな優 遇策にも触れなければならないだろう。工場などの新増設に伴う3年間の法人事業税と不動産取得税を免除。2003年度から2009年7月まで、実に3353法人に対して227億円の課税を免除した。何よりも、茨城県は、この10年間を累計した企業立地面積ランキングで全国トップ、県外企業立地件数も2005年以来ナンバーワンを維持している。そう、手厚い優遇策も圧倒的な量を支える一つの基盤となり、産業大県づくりに寄与していると理解できる。


 進化する広域交通ネットワーク、企業の成長を支える厚い産業基盤、そして優遇制度。これから、新しい判断基準で成長戦略を描いていく企業が増えてくるなかにあっても、茨城県の優位性がぶれることはないだろう。ここを、未来への飛躍の場として選択する潮流が、太くなっていくはずだ。
いばらきの工業団地


<お問い合わせ先>
茨城県産業立地推進東京本部
〒100-0004
東京都千代田区大手町2-6-2
日本ビル5F
TEL:03(3243)0845
FAX:03(3243)0846

茨城県 立地推進室
〒310−8555
水戸市笠原町978-6
TEL:029(301)2036
FAX:029(301)2039
工場立地面積全国一位 茨城県から聞こえる未来への鼓動