グローバル資本主義の中の渋沢栄一

合本キャピタリズムとモラル

パトリック・フリデンソン編著/橘川 武郎編著
2014年1月31日 発売
定価 3,300円(税込)
ISBN:9784492396018 / サイズ:A5/上/272

リーマンショック以降、市場原理に信頼を置く「英米型資本主義」に対する信頼が大きく揺らいでいる。21世紀のグローバルな時代に必要な「新しい資本主義」の概念が求められている。それには、500の企業、600の社会貢献事業に関与し、近代の日本の産業の父と称された渋沢栄一が示した「合本(がっぽん)主義」にヒントを求めることができる。合本主義とは、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方である。道徳と経済の一致や、適度の競争を重視するなど、社会との調和を保ちながらの経済思想であり、その思想が世界的にも注目され始めている。本書は日英米仏の著名な経営学者・歴史家が集結し、合本主義について論じた研究成果である。著者は、パトリック・フリデンソン(フランス社会科学高等研究院名誉教授)、ジャネット・ハンター(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)、ジェフリー・ジョーンズ(ハーバード・ビジネススクール教授)、橘川武郎、田中一弘(ともに一橋大学教授)、島田昌和(文京学院大学教授)、宮本又郎(大阪大学名誉教授)、木村昌人(渋沢栄一記念財団研究部長)。

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概要

21世紀のグローバル時代に必要な新しい資本主義のかたち。近代日本産業の父・渋沢栄一の叡智に学ぶ国際プロジェクトの成果を紹介。

目次

第1章 渋沢栄一による合本主義 島田昌和
第2章 道徳経済合一説 田中一弘
第3章 官民の関係と境界 パトリック・フリデンソン
第4章 「見える手」による資本主義 宮本又郎
第5章 公正な手段で富を得る ジャネット・ハンター
第6章 グローバル社会における渋沢栄一の商業道徳観 木村昌人
第7章 世界的視野における合本主義 ジェフリー・ジョーンズ
第8章 資本主義観の再構築と渋沢栄一の合本主義 橘川武郎

著者プロフィール

パトリック・フリデンソン  【編著】
ぱとりっく・ふりでんそん

フランス社会科学高等研究院名誉教授。博士(パリ第8大学)。専門は現代経済史・経営史。主な著作:Histoire des Usines Renault, vol.1(Editions du Seuil)、The French Home Front, 1914-1918(編著,Berg Publishers)、Reimagining Business History(共著,Johns Hopkins University Press)。

橘川 武郎  【編著】
きっかわ たけお

一橋大学大学院商学研究科教授。経済学博士(東京大学)。専門は経営史、エネルギー問題。主な著作:『日本の企業集団』(有斐閣)、『日本電力業発展のダイナミズム』(名古屋大学出版会)、『日本のエネルギー問題』(NTT出版)。