ザ・パニック

ブルナー,R.F.著/カー,S.D.著/雨宮 寛訳/今井 章子訳
2009年8月26日 発売
定価 2,640円(税込)
ISBN:9784492443613 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:376

編集者コメント




ノーベル賞受賞経済学者のクルーグマンも「1907年の金融恐慌との類似点は明らかである」と指摘したように、1907年の金融危機は、米国発の世界危機であったことと、資産価値のバブル的な上昇ではなく複雑な金融商品が原因で起こった金融危機という点で今回の2007年サブプライム金融危機に非常に似ているといわれる。


2007年サブプライム危機から溯ることちょうど100年前の1907年秋、取り付け騒ぎで騒然とするウォール街を救ったのは、J・ピアポント・モルガンだった。その後、「今後どんな金融危機のときにもモルガンがいるとは限らない」としてFRB(連邦準備制度)が設立されたのは、あまりにも有名な話である。


本書では、1907年金融危機の起こった背景、そしていかに1つの金融機関への取り付け騒ぎがあっという間に別の金融機関に飛び火し、野火のようにウォール街をなめつくす勢いで燃え広がっていったかを、数日の動きを克明に追うことで紙上に再現し、「私がここで危機を終わらせる」と宣言して獅子奮迅の働きをしたJ・ピアポント・モルガンの活躍ぶりに迫るものである。彼は3週間ばかりの間、彼の会社JPモルガン商会と彼の金融王としてのネットワークを駆使してキャッシュ不足に陥った金融機関を次々と救済し、破綻直前のニューヨーク市を救い、人々の信頼を回復することに専念し、ついにその宣言どおり危機を終結させたのである。


本書では、金融危機を引き起こす要因は何かについて、その7つの大きな要因に迫ることで本質をあぶり出し、さらに危機が起こった後のJ・ピアポント・モルガンの行動をつぶさに追うことで、危機を終結させる手段の本質は何かについても洞察し、現在および将来起こりうるであろう危機への対処の示唆となるものを引きだそうというものである。


   

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概要

2007年サブプライム危機に似ているといわれる1907年金融恐慌について、取り付け騒ぎで騒然とするウォール街を救い危機を終結させた男、J・P・モルガンの奮闘ぶりに迫る。

目次


第1章 ウォール街の支配者たち
第2章 システムへのショック
第3章 「静かなる」暴落
第4章 やせ細る信用
第5章 銅の王者
第6章 買い占めと引き締め
第7章 ドミノ倒し
第8章 資金決済機構
第9章 ニッカーボッカー信託会社
第10章 不信任投票
第11章 古典的取り付け騒ぎ
第12章 おそらく必要とされるであろう支援
第13章 アメリカ信託会社
第14章 取引所の危機
第15章 渦中の都市
第16章 興奮のるつぼ
第17章 現代のメディチ
第18章 迅速かつ徹底的な救済
第19章 危機脱出
第20章 連鎖反応
教 訓 パーフェクト・ストームという名の金融危機