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マーケティング五種競技

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(最終回) 販売を通じて市場・顧客へ

 
 
岸田雅裕
 
  ●セールスかマーケティングか?

岸田雅裕  日本企業だと「販売とマーケ」、外資系だと「セールス・アンド・マーケティング」というように、販売部門とマーケティング部門が並置される例は多いようです。そして時々、販売部門とマーケティング部門の間で連携、コミュニケーションがうまくいってないとか対立しているとかという話を聞きます。「ウチは販売でもってるけれど、実はマーケは弱い」という販売担当役員の愚痴を聞いたこともあるし、「卓越したマーケティングはセールスを不要にする」と言い放つマーケティング担当役員に会ったこともあります。
 ある消費財メーカーでは、販売部門は「うちのマーケは販売の現場を知らない。販売が人間関係で顧客を繋ぎとめているのも知らずにプランニングばかりやっている」と言うし、マーケティングは「販売は行くべき顧客に通わないで、行きやすい顧客のところに行って世間話をしているだけ」と。人間が動かす企業ドラマの1コマとして販売部門とマーケティング部門の対立は面白いですが、本来対立すべきものなのでしょうか。建設的な関係とはどういうものなのでしょうか。

●マーケティングのループが起動するとき

 伝聞で恐縮ですが、長年県庁に出入りするある本屋さんの話です。小さな個人経営の本屋を営むAさんは、毎月馴染みの職員の机の上に数冊の本を置いていくのだそうです。頼まれた本もあるけれど、大半はAさんが勝手に選んだ本。にもかかわらず返品はほとんどなし。この話を聞いた時、「アマゾンのレコメンデーションみたいですね」という感想を述べた人もいましたが、それ以上でしょう。馴染みの顧客の本の嗜好だけでなく、職員の人事異動や県庁の評判といったものも加味して、顧客本人も気づいていないような読むべき本を配本してくれる。Aさんの「販売」は、県庁の職員を顧客とし、その一人ひとりに対する深い洞察に基づいて配本するという購買代理ビジネスのマーケティングループを完成させる最後のピースのように思います。そして、その「販売」の瞬間から、次のマーケティングのループが起動する。

 次に、ある芸能プロダクションの敏腕マネジャーの結婚披露宴に出席した時の話です。タレントの石田純一さんが挨拶の中で次のようなことを述べました。「私たちのマネジャーは単に芸能人のスケジュールを営業し調整しているのではありません。俳優やタレントという商品をどうポジショニングしていくべきかを考え、そのためのマーケティングプランを練っているのです。私たちが成功するか否かはマネジャーのマーケティング力に懸かっています」。芸能人のマネジャーというと、タレントのわがままをなだめ、業界人との付き合いだけが営業というイメージがありますが、優秀なマネジャーはタレントを商品に見立ててマーケティングしている。そう聞くと、いくつかの芸能プロダクションが創業者の一人芸から脱皮して組織的に成功しているのも納得がいきます。
 
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  (2008年2月21日)  
   
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  (第1回) 市場・顧客の変化の波を読む(11/22)  
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