バイ・アンド・ホールド。
賢い投資の基本は
株価、ではなく企業を買う。

 ライフプランを明確に描き、アセットアロケーションの方針を決定したら、いよいよ具体的な銘柄選択に移ります。ここで重要なポイントは、財産形成に結びつきやすい株式投資とは、株価を買うのではなく企業を買うということです。暴落相場を経た今こそ、この投資原則を再認識するべきではないでしょうか。

 オバマ政権の経済政策ブレーンにも名を連ねる著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏は、「株式は売買するものではない」と語っています。この言葉に、企業を買うとはどういうことなのか、という問いに対する解答が凝縮されていると思います。「株式は売買するものではない」とは、成長する優良企業の株式を長期間保持し続けることを意味します。つまり、「バイ・アンド・セル」ではなく「バイ・アンド・ホールド」なのです。

 では、成長する企業とは何か。それは、事業を通じて利益を上げ続ける可能性の高い企業のことです。その企業が主戦場としている分野は今後も成長が見込めるのか。そして、成長分野に身を置きながら勝ち続けていけるかが重要な判断材料となります。こうした企業を探し出すことは、一般投資家でも十分可能です。ここでも「ROE(株主資本利益率)」で銘柄検索して候補銘柄を選び、ROEの水準の過去のトレンドを確認するのです。

 また、「私にはITが理解できないので、IT関連企業の株式は買わない」(バフェット氏)とのフレーズも聞いたことがあるのではないでしょうか。「わからない企業は買わない」というメッセージの意味するところは、文字通り投資家自身で投資対象となる企業の事業内容を理解せよ、理解できなければ投資すべきでない、ということです。ここで大切な要素は“常識と良識”です。

 企業の経営方針や事業内容は、例えばホームページを見ただけでも概要は分かるでしょう。事業内容は、果たして今後の社会のニーズに応えるものか。その事業は健全なものか。このような企業として本業を通じて社会に対し責任を果たしているかどうかは、多くの場合、常識と良識で判断できます。ROEの水準だけでなく、常識と良識に照らし合わせることで、数字の背景を推し測るのです。

 しかし、当然のことながら経済環境や市場環境は変化します。その変化に応じてポートフォリオを見直していく作業は必要です。たとえばある保有銘柄にプレミアムがつきフェアバリューと比較して著しく割高となっている場合、自身のポートフォリオの中でその銘柄のリスクウエイトが高くなっています。そこで、一部を売却することによって収益を確定するとともに、リスクウエイトを調整し、売却代金は待機資金へと振り向けるのです。

 最後に一言。過ちを犯すケースで最も多いのは、仕組みがよく理解できない金融商品に手を出すということです。今回のサブプライムショック以降のマーケット変動で、教訓とすべき重要なポイントでしょう。
→前回コラム:多くの個人投資家が頭の隅に置き去りにしている運用成果を決定する最重要ポイント。
福田啓太
FPアソシエイツ&コンサルティング エグゼクティブディレクター
1958年生まれ。
1981年立命館大学産業社会学部卒、日興證券入社。
1999年FPアソシエイツ&コンサルティングの設立に参画。
CFP認定者(日本FP協会上級FP)、CMA(日本証券アナリスト協会検定会員)。
「冷静で幅広い視野と長期的な観点」からのコンサルティングにはファンも多い。