資産運用・投資信託

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生活者の目線で「30年投資」の旗を揚げたコモンズ投信――新たな投信のあり方に挑む(第1回)(1) - 09/01/26 | 15:00

――個人向けの投資信託事業を立ち上げたきっかけとは?

澁澤健会長 三年前から設立の準備を進めていましたが、一昨年2007年の秋に、経済同友会の中東視察に参加しました。その時は、ちょうどソブリン・ウエルス・ファンドという言葉が盛り上がっていた頃でした。ソブリン・ウエルス・ファンドとは要するに王様のおカネを運用するファンドです。規模はともあれ、実は個人のおカネなのです。そこで彼らが考えていることは、「今は恵まれているけれども、いずれ自分たちの資源は枯渇してしまうかもしれない。いかに自分たちのおカネを次世代のために投資していけばいいか」という長期投資の視点でした。こうした経験が個人投資家の方々に対して期待するひとつの確信へとつながりました。

 事実、長期投資ということを考えた場合、時価会計をベースに期間の数字を上げることを目標とする機関投資家には時間軸に合わないところが出てきます。これに対して、個人投資家の方は、自分が納得すれば投資を続けることができます。その意味で、最終的にリスクを取れるのは個人の方だと思うのです。一人ひとりのおカネは小さなものかもしれませんが、そういう単位であったとしても、投資を自分の「今の儲け」という結果を求める次元にとどまるだけのものではなく、その少しずつを子供や孫という次世代のために積み立てる、「想いを遺す」プロセスとして投資を考えられるのではないかとも思ったのです。

 サブプライム問題の流れで世の中を見てみますと、米国では政府の借金は膨れ上がり、企業も、家計も借金漬けです。一方で日本は、政府は相変わらず借金を抱えていますが、企業部門のバランスシートはさほど悪くなく、家計部門は貯蓄に恵まれています。今までは借金をした者が得をした時代でしたが、これからはおカネが有る者、つまり、日本が相対的に優位な時代に入るのかもしれません。

 ただ、その新しい時代に向かうには大前提があります。それはそれぞれの家計がただおカネを持っているだけではなくて、いかに賢く使えるかです。それをいきなり何かに賭けるというのではなく、少しずつ長期的な視野でいろんなところで使い始めるということがカギではないかと思います。せっかく円高になって資産価格が下がっています。何も行動を起こさず、銀行預金においていれば、また円安になって資産価格が上がれば損はなかったという言い方はできるのかもしれませんが、機会ロスはかなりあると思います。今年、日本が問われているのはこの厳しい環境の中ではありますが、いかに賢く使えるかということになると思います。そういう意味で、日本の家計、個人への期待が大きいのです。

――「30年投資」というコンセプトを掲げています。

澁澤 運用の世界においては、運用者も大事ですが、いい投資家からおカネを預かるのでないといい運用はできません。公募投信ですから、いろんなおカネが入ってきていいのですが、何かひとつ同じ目線を持てることが大切だと思います。そこで「長期投資」という言葉を使っても、デイトレーダーの長期投資は1週間かもしれませんし、人によって定義が定まっていないという問題があるのです。「30年」という言葉を使うことによって線が引ける。その線を超えるか超えないかは、個々の投資家の方々のご判断になります。

 コモンズ投信という社名の由来は、コモングラウンド、つまり「共有地」から取っています。そこで共感するような価値観、コモンバリューが必要かなと思っています。今から30年というと、2039年の1月ですが、その時点で「子供や孫、自分が大切に思う人が豊かに幸せに暮らしていて欲しい」ということは、良識のある生活者は皆、同じように思うところではないでしょうか。その意味で目線を合わせたいという気持ちがありました。われわれの考えを共有してくれる方に来ていただきたいのです。

 日本人の寿命が90年だとすると、親に養われて社会に入るのが最初の30年です。仕事から得る収入と生活に必要な費用の差額である過分所得、超過収益力があるのは、おおむね次の30年間です。次の30年は築いたストックを使うサイクルになります。真ん中の30年、自分の超過収益力が一番あるうちに、少しずつ残りの30年や大事な人のために積み立てていく、これは日本人の平均的なライフサイクルの観点からも理にかなう現実だと思っています。

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