カネ詰まりの不動産業界と「6月危機説」 - 08/06/26 | 18:22
不動産不況が深刻化している。それを物語る問題物件の存在が、関係者の間でひそかに注目されている。
茨城県つくば市。つくばエクスプレスの終点・つくば駅から、1時間2本のバスに揺られること15分。総戸数110戸の大型マンション建築工事に変調が生じたのは今年初めだった。開発業者のランドコムから、建設会社のアゼルに対する中間金の支払いが遅れたのだ。たまらず、アゼルは3月中旬に工事債権保全のため、底地に仮差押の登記を実行。数日後、中間金はようやく払われた。
が、トラブルはなお続いた。3月末に物件が完成したものの、販売戸数はわずかに10戸余り。これでは、ランドコムが残りの工事代金16億円を払うことは難しい。結局、5月下旬、アゼルは代金回収をあきらめ、代物弁済で物件を引き取らざるをえなかった。「8月から販売を本格的に再開」(経営企画部)、在庫を売り切る方針だ。
横浜市に本社を置くランドコムは、オーストラリア人観光客を当て込んで北海道・ニセコでリゾートマンション事業を成功させるなどして急成長、東証2部上場も果たした。2008年12月期も前期比倍増近い538億円の売上高予想を掲げる。しかし、資金繰りが急速に逼迫するなど、内実は厳しい。ニセコ地区の所有地は5月12日付で横浜市から差押を受けてもいる。
税金が払えない!
サブプライム問題による外資金融機関の資金引き揚げを発端とする今回の不動産不況は、ついにデベロッパー各社の屋台骨を揺るがし始めた。
業界に衝撃を走らせたのは近藤産業(大阪市)の“突然死”だ。関西地盤のマンション業者である同社は5月30日、期限が到来する借入金15億円の返済資金が工面できず、破産を申し立てた。負債額323億円。多額の収益を狙って昨年夏に大阪・曽根崎の再開発に参画したが、同計画は高利の市中金融業者から資金を導入しているような複雑な案件だった。戦線を広げた結果、多額の仕掛不動産を抱え込み、行き詰まった。
倒産が意外だったのは、近藤産業が業界大手ゼファーの傘下にあったからだ。ゼファーは貸付金と債務保証で119億円を金融支援したが、それが限界だった。同社は発表済みの08年3月期決算を大幅訂正。約2割の出資を受けるSBIホールディングスからは200億円の支援を受けている。「金融機関との関係に特段の変化はない」(経営企画室)とするが、状況は厳しさを増している。
関西ではほかにも商業施設開発のミキシング(大阪市)が民事再生法を申請(5月16日、負債186億円)。そのあおりで大証2部のジェイオーグループホールディングス傘下の建設子会社が連鎖倒産した。東京では、1000億円近いファンドを組成してきたグローバンス(千代田区)が倒れた(5月26日、負債75億円)。不動産バブルの原動力となってきたノンリコースローン(非遡及型融資)が取れなくなった結果だった。
あそこは借入資金のロールオーバー(借り換え)が難しいらしい――。業界ではうわさが飛び交う。そんな中、大きなヤマ場が訪れるとみられているのが6月末だ。理由の一つとして挙げられるのが、納税資金の負担。3月決算企業の場合、法人税の納付期限は6月末。秋まで絶好調だった昨年の貯金で、各社とも前期の利益水準は高い。そのため多額の税負担が発生、資金環境が急悪化した現状、それを用立てられない企業が出るおそれがあるというわけだ。
新興デベロッパーの多くはメインバンクを持たない。1990年代のような銀行主導とは異なる形で、バブル処理は進まざるをえない。が、道筋はいまだ霧のかなただ。
(高橋篤史 =週刊東洋経済)
茨城県つくば市。つくばエクスプレスの終点・つくば駅から、1時間2本のバスに揺られること15分。総戸数110戸の大型マンション建築工事に変調が生じたのは今年初めだった。開発業者のランドコムから、建設会社のアゼルに対する中間金の支払いが遅れたのだ。たまらず、アゼルは3月中旬に工事債権保全のため、底地に仮差押の登記を実行。数日後、中間金はようやく払われた。が、トラブルはなお続いた。3月末に物件が完成したものの、販売戸数はわずかに10戸余り。これでは、ランドコムが残りの工事代金16億円を払うことは難しい。結局、5月下旬、アゼルは代金回収をあきらめ、代物弁済で物件を引き取らざるをえなかった。「8月から販売を本格的に再開」(経営企画部)、在庫を売り切る方針だ。
横浜市に本社を置くランドコムは、オーストラリア人観光客を当て込んで北海道・ニセコでリゾートマンション事業を成功させるなどして急成長、東証2部上場も果たした。2008年12月期も前期比倍増近い538億円の売上高予想を掲げる。しかし、資金繰りが急速に逼迫するなど、内実は厳しい。ニセコ地区の所有地は5月12日付で横浜市から差押を受けてもいる。
税金が払えない!
サブプライム問題による外資金融機関の資金引き揚げを発端とする今回の不動産不況は、ついにデベロッパー各社の屋台骨を揺るがし始めた。
業界に衝撃を走らせたのは近藤産業(大阪市)の“突然死”だ。関西地盤のマンション業者である同社は5月30日、期限が到来する借入金15億円の返済資金が工面できず、破産を申し立てた。負債額323億円。多額の収益を狙って昨年夏に大阪・曽根崎の再開発に参画したが、同計画は高利の市中金融業者から資金を導入しているような複雑な案件だった。戦線を広げた結果、多額の仕掛不動産を抱え込み、行き詰まった。
倒産が意外だったのは、近藤産業が業界大手ゼファーの傘下にあったからだ。ゼファーは貸付金と債務保証で119億円を金融支援したが、それが限界だった。同社は発表済みの08年3月期決算を大幅訂正。約2割の出資を受けるSBIホールディングスからは200億円の支援を受けている。「金融機関との関係に特段の変化はない」(経営企画室)とするが、状況は厳しさを増している。
関西ではほかにも商業施設開発のミキシング(大阪市)が民事再生法を申請(5月16日、負債186億円)。そのあおりで大証2部のジェイオーグループホールディングス傘下の建設子会社が連鎖倒産した。東京では、1000億円近いファンドを組成してきたグローバンス(千代田区)が倒れた(5月26日、負債75億円)。不動産バブルの原動力となってきたノンリコースローン(非遡及型融資)が取れなくなった結果だった。
あそこは借入資金のロールオーバー(借り換え)が難しいらしい――。業界ではうわさが飛び交う。そんな中、大きなヤマ場が訪れるとみられているのが6月末だ。理由の一つとして挙げられるのが、納税資金の負担。3月決算企業の場合、法人税の納付期限は6月末。秋まで絶好調だった昨年の貯金で、各社とも前期の利益水準は高い。そのため多額の税負担が発生、資金環境が急悪化した現状、それを用立てられない企業が出るおそれがあるというわけだ。
新興デベロッパーの多くはメインバンクを持たない。1990年代のような銀行主導とは異なる形で、バブル処理は進まざるをえない。が、道筋はいまだ霧のかなただ。
(高橋篤史 =週刊東洋経済)
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