書評

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知識の量に比例して人間は考えなくなる――『自分の頭で考える』を書いた外山滋比古氏(英文学者・エッセイスト)に聞く(3) - 10/01/15 | 08:10


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――出版文化が一変する書物とは。

 今までの出版文化は、文学的なものを中心において読者をとらえようとしていた。しかし、もうかなり前から新聞も連載小説で読者をつなぎとめられなくなっている。文学的ではないところで、新しい知的な興味を満たすものがどれだけあるか。高等教育を受けた人の少なくとも3分の2は、文学的なものから離れようとしている。しかし送り手のほうは依然として、文学的、つまり一種のフィクションに固執している。

 知識離れ、その背後にあるフィクション離れ、より大きくは文科的文化に興味を持たない。成熟社会には、文科的でも理科的でもない、文理を超えた総合的な人間の知的活動の分野がありそうだ。

 文科と理科を分けたのは19世紀の考え方。今や人間離れした理科と、小説、文学を中心とした文科を対比すると、その真ん中に大きなエアポケットの「Xの世界」があって、そこに今の若い人たちは吸い込まれている。

 新しい文化を求める人たちができているのではないか。

――それは世界的にですか。

 総合的なものになれば、これはルネッサンス以降のヨーロッパの文化の原理が変わる。これはまさに新分野。ヨーロッパ文化の辺境にあるところがいちばん早くいくかもしれない。ちょうど明治維新が江戸の近くでなくて離れた外様の薩長土肥が主役だったように。文化の場合でも中心地ではむずかしく、周辺に可能性が高い。そこでいまヨーロッパの人たちが注目しているのはカナダ。20世紀中頃から学術的文化的な面で、たとえばトロント大学など、注目すべき新しい動きがある。

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