書評

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政権交代の経済学 小峰隆夫編著 〜経済学のキーワードをまぶした経済政策批判(2) - 10/07/26 | 08:00


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 しかし、本書ではいくつかの面白い用語や考え方も紹介されている。ホテリング効果(立地競争をすると、二人の競争者は互いに歩み寄るようになり、中央の地点で隣接する)、ブキャナン効果(民主主義は財政赤字を拡大させる)、コモンズの悲劇(共有地では資源が過剰利用され、毀損される)、エージェンシー理論(政治家と官僚の複雑な関係)、双曲的割引モデル(将来の効用に対して、偏りが存在する)など。また経済学とは別の議論が必要な問題提起もなされている。規模の経済の機能不全(日本では小規模農家が乱立)、最適通貨圏の不在(アジア共通通貨を巡って)、特殊出生率の幻惑(年齢別に算出した数値の合計で、実際に生まれてくる子供の数とは違う)などなど。

 「アジアにおいては英語を操れる人はそう多くない」という誤った現状認識もあり、ストレス水準決定の経済社会モデル(残った従業員の生産性が上がるとし、人員リストラを正当化)など論議を呼ぶ提案もあるが、前半の党派性の高い論旨が後半ではややモデレートになっている。エコノミストの主張には政治的背景があることを本書は思い起こさせてくれた。

こみね・たかお
法政大学大学院政策創造研究科教授、日本経済研究センター研究顧問。1947年生まれ。東京大学経済学部卒、経済企画庁入庁。同庁内国調査第一課長、国土庁審議官、経済企画庁審議官、同庁経済研究所長、同庁物価局長、同庁調査局長などを経て現職。

日経BP社 2310円 238ページ

  

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