『海岸線の歴史』を書いた松本健一氏(評論家、作家、麗澤大学教授)に聞く(1) - 09/06/12 | 08:00


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視点によって歴史は違った様相を見せる

――海岸線の視点から書かれた歴史書はめずらしい。

 世界で初めてではないか。12年前に着想した。当時『開国・維新』において、権力の変遷や政治の変化を書いたが、開港地や人口の動き、人の住まい方、さらには文化の動向はほとんど書くことができなかった。それを海岸線の変化の視点から対象も広げてまとめた。たとえば横浜は開港することで2000人の住民から大きく変化していく。

――エピソードの引用は文学や軍事史的なものまで広範囲にわたり、トロイアにも言及していますね。

 11歳のときにトロイアの遺跡を発掘したシュリーマンの伝記を読み、シュリーマンのように生きたいと憧れた。そのときから考えると50年後の60歳になるかならないかに、やっとトロイアに行くことができた。長年不思議に思っていたことが氷解するという体験もした。

 トロイアの遺跡は現在は5キロメートル内陸に入ったところにある。そこから海までは穀倉地帯になっている。3000年かかって湾が埋まったためだ。このように海岸線は自然現象としても変わっていく。

――「砂の文明、泥の文明、石の文明」をキーワードにした著書もあります。視点が大切ということですね。

 海岸線という視点を導入すれば、日本のまた違った歴史が見えてくる。新たな視点で見れば、歴史はまた違った様相を見せる。
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