市場は間違える、だからチャンスがある 渾沌を生き抜く投資論 阿部修平著 〜ブーム&バストを見抜き賢い投資をするための手引 - 09/11/24 | 08:00


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評者 フレームワーク・マネジメント代表取締役 津田倫男

 国産独立系の上場資産運用会社経営者による投資の心構えと成功の秘訣の一端を記した書である。著者はG・ソロスほかの薫陶を受け、運用の技を磨く。バリュー(割安株)投資の極意は顧客である米国の機関投資家から、ソロスからはInvest and Investigate(投資してから調査せよ)とのモットーを学んだという。理性で調査し尽くした最後の決断は、自分の「感性」を信じて行えとのメッセージだ。

 またソロスとその信奉者たちは、ブーム&バスト(相場は必ず熱狂し、破裂する)を投資の基準にしているとも説く。株式に限らず相場が立つものは、実態価値を超えて暴騰し、それが崩壊するという過程を繰り返すというのだ。そうした渦中にあって、彼らは「市場は常に間違っている」という信念に基づき、市場の歪みを見つけ、そこに一気呵成に資金を投入し、相場で勝とうとする。

 著者もそれを受け、投資とは、「価格裁定プロセスへの参加」だという。そして価格裁定には、地理的な制約や情報の偏在などの要素のほかに、企業価値の未実現と市場参加者のバイアス(偏向)が大きな影響を与えると続ける。後者の二つを見抜いて、逆張りをすることが儲ける秘訣だというわけだ。バイアスとバストの二つは歴史的にも多くの事例があるといい、最近のサブプライムローン問題もこの理論で説明している。

 過去のブームの歴史の説明が冗長なのと、ソロスの「再帰理論」の説明が不足なのは物足りないが、個人投資家でもある読者へのサービスとして、産業構造の大きな変革の中での「スマートグリッド」(新電力システム)や太陽光電池などを注目事象としてあげている。これらは日本経済の底力を示す例だと国内経済の将来については楽観的に見ているのに同感する。

あべ・しゅうへい
スパークス・グループ代表取締役社長。1954年生まれ、上智大学経済学部卒。野村総合研究所、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルなどを経て、89年スパークス投資顧問を設立。

日本経済新聞出版社 1680円 206ページ

  
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