『「理工系離れ」が経済力を奪う』を書いた今野浩氏(中央大学理工学部経営システム学科教授)に聞く(1) - 09/07/03 | 08:00


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 日本の金融工学理論の第一人者が、「理工系離れ」の実態を赤裸々に描いた本が話題を呼んでいる。ほぼ同時期に、ある夭折した研究者の半生を通じ、才能を磨耗させる理工系大学の実態を描き出した『すべて僕に任せてください』(新潮社)も刊行。出版の真意を聞いた。

――日本経済を支え、これからも支えていく技術者が日本では正当に評価されていない……。

 20世紀の日本を支えた最強のエンジニア集団が徐々にリタイアし、もうすぐ消えていく。その消えていく最後の瞬間に、彼らがどのような生き方をしたか、読者に知っていただきたかった。

 企業でエンジニアはしんどい仕事をしている。優秀な仲間が企業に入って、どれだけ恵まれなかったか。エンジニアがこのまま冷遇され続けていていいのか、と。

 養老孟司さんが言っているように20世紀はエンジニアの時代だった。戦争で負けて価値観ががらりと変わって、優秀な人間は確実なものを目指した。いちばん確実なものはなにか、それが「ものづくり」だった。その結果、日本はいまの生活水準まで上り詰めた。

 その間のエンジニアの実態を、国民は知らなすぎる。エンジニアは顔が見えないという。実情は、意見を言いたくても取り上げてくれない。それで、誰かが書くべきと思い、まとめた。

――大学についてもいえますか。

 いままで理工系大学は頑張って、世界ランキングで高いレベルを維持してきている。だが、注目されなかった。ジャーナリズムもノーベル賞以外ではあまり関心がない。しいていえば、理工系の人間は好きなことをやっているのだから、勝手に働いて好きなようにやりなさいよと。理工系大学は、比較の対象が世界だから、MITやハーバード大においていかれないようにやろうと専門分野で必死になって頑張っている。それで、これまでの日本の製造業の繁栄をサポートしてきたという自負がある。
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