(第16回)<中江有里さん・前編>他人に甘えてみて先が開けた高校時代(2) - 07/05/15 | 15:25 |
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●子どもは異質なものに敏感
当時、私は半分社会に出ていました。けど、学生の時期がなく、いきなり社会人になるのは辛かったと思います。
学校って社会の縮図だと思うんです。人間関係とか、嫌でもやらなければいけないこと、無駄だと思ってもやらなければいけないことなどがあり、年齢的にも無知な部分と早熟した部分と両方持っている、そういう時期。学生というひとつの自由な身分があると、自分がどういうことができるかということを悩む時間にもなると思うのです。学校って不思議なところですよね。社会に出るとなんでもないことが、学校の中にいるとひっかかることがある。たとえば、自分が飛び抜けて何かできることや、そのまた反対にできないことを非難されたりする、そういう場所なんですよね。
先日、一番楽しかった小学6年生のときのクラスの同窓会がありました。楽しかった……というクラスの中でも軽いいじめはありました。でもそういうのには理由があったんだなと。いじめられていた子は、斜に構えたところがあったり、何かひとつの才能が飛び抜けていたりと、異質だったのです。大人になってからも、いまだにその異質な感じはありますが、社会に出てしまうと、あのときのようなわだかまりはまったくなく、異質なものでも溶け込んでいけるのです。
●いじめはなくならない
子どものいじめはすごく単純で、悪意はないのです。それ自体が面白いからやっている。陰湿なことは、本人や周りが見ていても嫌なものだから。いじめはなくならないと思うのです。差別はいけないとか、そういうことはわかりますが、純粋に、子どもというものは、「自分とあの人はどうして違うんだろう」ということからはじまるし、それを笑ったり蔑んでいたりすることが楽しいからするのだと思います。それをすべていけない、だめということになれば、何もいえなくなる世の中になるんじゃないかということのほうが、逆に怖かったりもします。かといっていじめを肯定するわけではなく、それをちゃんと大人が見ていなければいけないのだと私は思います。
●大人が加減を教えてあげる
私は大阪の出身ですから、のりつっこみの文化です。友達同士でも結構ひどいことを言い合うのです。でも、それに対して返す言葉がある。そこにはユーモアがあったり、言葉のキャッチボールの面白さがあるのです。もちろん言葉は剣にもなるのですが、人間のコミュニケーションというのは、誤解も含めて言葉に大きく依存します。その中で相手を傷つけてしまうことは無意識でもあるかもしれないし、意識してやっているかもしれないし、それは言っちゃいけない、してはいけないということは誰かが教えてあげなくちゃいけないと思うのです。ただ、「いじめはいけない」「差別はよくない」というだけではなく、いろんな経験を積んできた大人がその場その場で教えてあげなくちゃいけません。具体的な対処としては、たとえば、本を読むことでロールプレイングのようなことにもなると思います。両方の立場になって想像できますよね?こういうことを言われたらどういう思いをするのか?ここまでなら許せるけどということを、押し付けるのではなく、考えさせるということを子ども達に促してあげるのが教育の理想ではないかと思います。
中江有里<なかえ・ゆり>女優、脚本家。1973年生まれ。大阪府出身。
1989年に芸能界デビュー。NHK連続テレビ小説『走らんか!』や大河ドラマ『義経』、映画『ふたり』『学校』『風の歌が聴きたい』など、多数の作品に出演。2002年『納豆ウドン』でBKラジオドラマ脚本コンクールで最高賞受賞。脚本家としても活動を始める。現在は、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で司会も務める。
著書に『結婚写真』(NHK出版)。
http://www.yuri-nakae.com
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