(第20回)現状を打破する変革人材の採用・育成のすすめ(前編)(1) - 08/12/19 | 09:00 |
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福井信英
昨今のニュースによれば、上場企業だけでも6000人を超える正社員の解雇が行われるらしい。
つい昨年まで、学生の売り手市場はバブル期の水準を越える、と騒いでいたのが嘘のようだ。
アメリカ発の金融危機は、実体経済にも悪影響を与え、当然の因果として雇用市場にも大打撃となっている。この影響は採用規模の縮小に留まらず、国内企業の人材戦略及び、教育機関の人材教育のあり方にも大きな変化をもたらすに違いない。
今回のコラムでは、経営環境の変化を踏まえ、今後どのような採用方針を企業が取るべきか、考えていきたい。
「バブル期以来の学生売り手市場」からわずか1年で「就職氷河期」へと変化した今、
「もう、いい加減に景気に振り回される採用活動はやめにしたい」
と感じている経営者や人事責任者の皆様も多いのではないだろうか。一度採用したからには、雇用の責任が発生する。景気が良くなったら人員を増やし、景気が悪くなったら解雇、というように景気に合わせて簡単に雇用調整が行えないことは誰でも知っている。
業績悪化から涙を飲んで内定取り消しなどをしてしまった日には、社会的な批判の矢面に立たなければならなくなる。好きで内定取り消しを行う経営者や人事担当者なんていない。私が知っている人事の方は、内定を取り消してしまった学生の就職先探しに東奔西走、最後には自分自身が良心の呵責に耐えかねて辞めてしまわれた方ばかりだ。
人件費を流動的なものにするために、派遣社員を受け入れる企業がここ4〜5年で急拡大したが、不景気になると真っ先に解雇の対象となるのが派遣社員でもある。これら非正社員の扱いは社会問題として認知されてきているし、派遣社員の雇用に関してもこれまで以上に慎重に行っていく必要が出てきそうだ。
雇用される立場の我々は、「いつ、どのような経営環境であっても」働き口があるように能力・人格を磨き続けねばならないし、一方、雇用する立場の人間としては、「いつ、どのような経営環境であっても」利益を生み出す仕組みを作り続けることができる人材「だけ」を採用するよう、採用―教育(配属)―評価といった一連の社内制度を整えていかなければならないだろう。
「いつ、どのような経営環境であっても利益を生み出す仕組みを作り上げることができる人材」のことを、私は「変革人材」とよんでいるが、これからの人事は「変革人材」を採用し、育て、評価することに全力を尽くさねばならないと思う。そして、教育機関(弊社も含む)は変革人材を生み出すことに一層力を尽くさねばならない。
ほんの3年前のことだが、10数人の会社であるにもかかわらず、新卒人材を20名採用するというベンチャー企業の経営者から仕事の相談を受けた。確かに業績は伸びていた。社長の言葉を借りると「売れる仕組み」ができたので、後は力のある営業担当者を採用すれば、一人当たり2500万の売上と1000万の粗利を生み出せる。優秀な人材はいくらいてもいい、という話だった。
私は「20人ではなく、5人、せめて10人であれば仕事を受けます」と言い、結果的にその企業は、採用人数を5人と再設定したので、仕事をお受けすることにした。
この社長の当初の発想は、既に売れる仕組みはあるので、あとは営業力のある社員を増やせばいいという考えに基づいた採用計画だった。幸いにもこの企業の場合は、本来ベンチャー企業が取るべき、「少数精鋭」の採用活動に戻すことができたと思っている。もし、当初計画にこだわり20人採用のままで進めていたら、今頃は採用した多くの人材を育てる間もなく解雇(あるいは自主退職)の対象として見なければいけなくなったかもしれない。
企業の「売れる仕組み」も「景気」も常に変化するものである。変化の少ない時代であればともかく、めまぐるしく経営環境が変わる現在、「今の売れる仕組み」を元に、採用―教育―評価といった、人事システムを考えるのでは足りなくなってきている。
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