(第7回)誰も語らない、新卒採用市場の深刻で根深い問題(1) - 08/05/30 | 09:00


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福井信英

 長期的に見ると、社会には良い方向に向かおうとする自浄作用があると思う。そう信じたい。
 確かに日本、そして世界では様々な問題が起きている。知恵を与えられた我々の歴史は、破壊と争いの歴史であるが、問題の解決と克服の歴史でもある。環境、貧困、紛争、食料、差別。世界に悩みは尽きないが、正しいことは何かを考え、ひとつひとつの問題に対して知恵を持って解決していくのが、人に与えられた使命ではないかと思う。
 今は(そしてこれまでは)、環境を一方的に破壊し続けてきた私たちではあるが、地球を守り、慈しむ環境共生型の社会だって、きっと到来するし、自分自身が貢献できることは何かを考えねばならないと思う。

 さて、本題。いきなり身近な話になって恐縮だが、ビジネス構造も本質的には「良い方向に向かおうとする自浄作用」があると思う。

 新卒採用活動に関していうと、以前は入社してからの仕事内容などが十分ディスクローズされていなかった。結果、様々なミスマッチが生じ、現在はそれが社会問題になりつつある(?)のだが、今は良い会社であればあるほど、会社の中身や真実をディスクローズし、ミスマッチをなくす姿勢が出てきている。会社の中身をきちんと伝え、ミスマッチをなくしたほうが、最終的な採用効率・人材投資の費用対効果が高まるからだ。
 ほんの数年後には、今のように「新卒入社後3年以内退職者」が話題に出ることも少なくなっていることだろう。

 一方、マスコミには取り上げられないが、より深刻で根深い問題が新卒採用市場には、ある。異なる業界から転職してきた私だから、もしかしたら新卒でこの業界に入社した人よりも、業界特有の問題が鮮明に見える、という点もあるかも知れない。

 人事として採用活動に携わる方にも、これから就職活動を始める学生の皆さんにも知っておいていただきたいことだから、あえて業界のタブーについて語ろうと思う。そのタブーとは、

 「たくさん集めて、たくさん落とすほうが採用支援業者は儲かる」という事実だ。

 これだけでは何のことかよくわからないと思うので、詳しく説明したい。
 採用を支援する業者(媒体業者、アウトソーサー、アセスメントツール開発会社)は、新卒採用を行う企業側に「たくさん人を集めて、たくさん落とす採用活動」をやってもらったほうが、儲かるのだ。これは採用活動を行う企業側、選考を受ける学生側双方に不幸をもたらしている。

 例を挙げよう。
たくさん人を集めるのには、広告への露出やイベントへの参加が必要だ。たくさん集めようとすればするほど、大量の広告やイベントでの露出が必要になる。
集めた人に十分企業を理解してもらうのに、会社説明会をたくさん行う必要がある。時には人手が足りないので、アウトソーサーに頼む。
実際に選考プロセスに入ると、全員と面接することはできないので、絞り込むための適性テストが必要になる。適性テストのコストは5000円/人。100人に受けてもらう場合は、50万円だが、1万人に受けてもらう必要があれば、それだけで5000万円だ。(それが毎年続く。)
その後は、面接。面接は採用側にとって最も負担が大きい。だから面接のアウトソーシングをお願いする。
一連の採用活動を行っていく中で応募者がある程度増えると人事担当者だけでは連絡が取りきれない。そこでもまた、アウトソーシングが発生する。

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