パート3「感動する数学」(第6回)オイラーの公式からみえる風景(3) - 06/11/07 | 09:00
このことは、歴史を振り返ると対数の発見物語が浮かび上がってきます。1614年にスコットランドの城主ネイピアが20年の歳月をかけて作り出したのが対数(logarithmsはネイピアによる造語)でした。後を継いだブリッグスが常用対数(底が10)を完成させ世界中に対数がひろまりました。「対数は天文学者の寿命を10年延ばした」と絶賛されることとなり、天文学、数学に多大なる貢献をすることになりました。しかし、これは常用対数が計算機としての役割を果たしたことを意味するのであり、数学的本質の発展はオイラーによる1748年の自然対数(底がe)を待たねばならなかったのです。はたして、ネイピアの対数の底が実はeに関係していたという驚くべき事実がオイラーにより明らかになります。eがEulerの頭文字をとったものであり、別名ネイピア数と呼ばれる所以です。関数という概念が整備されだしたのもまさにこの対数、指数の本質をオイラーが探求するところからでした。オイラーの公式は指数関数と三角関数の関係を明らかにしたと同時に、実数と複素数(虚数)の橋渡しをするきわめて重要なレール(イコール)となったのです。複素関数の幕開けがオイラーの公式から始まったと言えます。19世紀はオイラーのあまりに大胆な計算を厳密に論証することになりました。複素関数論すなわち、複素数世界における微分積分の理論が完成すると、待ってましたとばかりに物理学がオイラーの公式を使うことになったのです。
光や電子といったミクロの世界の運動を記述することに成功した方程式がこのシュレーディンガーの波動方程式です。光や電子といったミクロ世界の主役は、波動と粒子の両方の性質をもつことがわかってきました。この量子なる存在を表すのがΨ(波動関数)です。これはまさに複素関数なのです。いよいよ、オイラーの公式は数学世界を越えてこの宇宙の根源を語り始めたのです。
次回は、パート4「数学は言葉」(第7回)「言葉としての数学は何を語るのか」です。量子力学はオイラーの公式がその土台をなしています。その量子力学が語ることは「実在」とは何かということなのです。この宇宙と数学の関係からみえてくる風景にせまります。
桜井進(さくらい・すすむ)
1968年山形県生。東京工業大学理学部数学科、同大学院卒業。
sakurAi Science Factory主宰、サイエンスナビゲーター。東京工業大学世界文明センターフェロー。
在学中から塾講師として教壇に立ち数学や物理を楽しく追求する。講師をする傍ら、身近なものや数学者の人間ドラマを通して数学の楽しさや美しさを伝える「サイエンスエンター テインメント」活動を展開。2000年よりスタートした講演は日本全国で反響をび、現在も数学のロマンをナビゲートし続けている。テレビ出演、聞・雑誌などに掲載され今話題となっている。
【番組出演・新聞・雑誌掲載など】
読売新聞科学欄「サイエンス」講演活動掲載、『めざましテレビ』(フジテレビ)密着取材、『銀幕会議』(フジテレビ)『博士の愛した数式』映画紹介、文科省主催「サイエンスラウンジ」、「サイエン スキャバレー」に出演、雑誌『ダヴィンチ』7月号・8月号にて一青窈さんと対談、『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京)「数学で美しくなる」に数学の伝道師として出演中、他多数。
【著書】
『数学のリアル』(東京書籍)、『雪月花の数学』(祥伝社)、『感動する!数学』(海竜社)、『超インド式桜井計算ドリル』(アスコム)、『インド式計算暗算ドリル』監修(宝島社)、『実況解説!インド式算術』(PHP研究所)、『2112年9月3日、ドラえもんは本当に誕生する!』(ソフトバンククリエイティブ)、『数学で美人になる』(マガジンハウス)、『計算しない数学、計算する数学』(共著、技術評論社)、『オトナのための算数・数学やりなおしドリル 』(宝島社)、『天才たちが愛した美しい数式』(PHP研究所)、『数学で宇宙制覇』(海竜社)、任天堂DS『全脳シリーズvol.02 桜井進先生監修 インド式計算全脳ドリル』
【公式Webサイト】
sakurAi Science Factory Web Site http://www.ssfactory.net/
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光や電子といったミクロの世界の運動を記述することに成功した方程式がこのシュレーディンガーの波動方程式です。光や電子といったミクロ世界の主役は、波動と粒子の両方の性質をもつことがわかってきました。この量子なる存在を表すのがΨ(波動関数)です。これはまさに複素関数なのです。いよいよ、オイラーの公式は数学世界を越えてこの宇宙の根源を語り始めたのです。
次回は、パート4「数学は言葉」(第7回)「言葉としての数学は何を語るのか」です。量子力学はオイラーの公式がその土台をなしています。その量子力学が語ることは「実在」とは何かということなのです。この宇宙と数学の関係からみえてくる風景にせまります。
桜井進(さくらい・すすむ)1968年山形県生。東京工業大学理学部数学科、同大学院卒業。
sakurAi Science Factory主宰、サイエンスナビゲーター。東京工業大学世界文明センターフェロー。
在学中から塾講師として教壇に立ち数学や物理を楽しく追求する。講師をする傍ら、身近なものや数学者の人間ドラマを通して数学の楽しさや美しさを伝える「サイエンスエンター テインメント」活動を展開。2000年よりスタートした講演は日本全国で反響をび、現在も数学のロマンをナビゲートし続けている。テレビ出演、聞・雑誌などに掲載され今話題となっている。
【番組出演・新聞・雑誌掲載など】
読売新聞科学欄「サイエンス」講演活動掲載、『めざましテレビ』(フジテレビ)密着取材、『銀幕会議』(フジテレビ)『博士の愛した数式』映画紹介、文科省主催「サイエンスラウンジ」、「サイエン スキャバレー」に出演、雑誌『ダヴィンチ』7月号・8月号にて一青窈さんと対談、『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京)「数学で美しくなる」に数学の伝道師として出演中、他多数。
【著書】
『数学のリアル』(東京書籍)、『雪月花の数学』(祥伝社)、『感動する!数学』(海竜社)、『超インド式桜井計算ドリル』(アスコム)、『インド式計算暗算ドリル』監修(宝島社)、『実況解説!インド式算術』(PHP研究所)、『2112年9月3日、ドラえもんは本当に誕生する!』(ソフトバンククリエイティブ)、『数学で美人になる』(マガジンハウス)、『計算しない数学、計算する数学』(共著、技術評論社)、『オトナのための算数・数学やりなおしドリル 』(宝島社)、『天才たちが愛した美しい数式』(PHP研究所)、『数学で宇宙制覇』(海竜社)、任天堂DS『全脳シリーズvol.02 桜井進先生監修 インド式計算全脳ドリル』
【公式Webサイト】
sakurAi Science Factory Web Site http://www.ssfactory.net/
バックナンバー
- 言葉としての数学はどこまで語ることができるのか -06/12/05 | 09:00
- 言葉としての数学は何を語るのか(物理編) -06/11/21 | 09:00
- オイラーの公式からみえる風景 -06/11/07 | 09:00
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