(第17回)<中江有里さん・後編>母がいじめを解決してくれた(1) - 07/05/20 | 09:00
●ある日突然「いじめ」はやってきた
私自身も中学生の時にいじめられた経験があります。それが普通、日常だったから、「自分がその対象になってしまったか」という気持ちでした。クラスの中の雰囲気が、瞬時に変わりました。その頃、普通にしていればいじめられないだろうと思っていましたが、普通にしていてもいじめられたのです。大げさな言い方ですが、たとえば、世界のどこかで日常的に戦争が起こっているということは知っている。遠いどこかの国のことくらいに思っていたものが、突然自分の国が攻め込まれたような、そんな気がしました。他人事だと思っていたことが、自分がその対象になることの怖さ、世の中が真っ暗になりました。しかし私の場合は救世主がいました。母がすぐに気づいてくれて、対処してくれたのです。
●いじめっ子と直接対話を!
このとき、いじめられる怖さと同時に、明日から学校に行けないのかという怖さがありました。実際に一度も会ったことのない不登校の子がいましたから、自分もそうなるのか、と。一人で家に帰って泣いていたら、仕事場から電話してきた母が、私の声を聞いてただならぬ気配を感じて一目散に帰ってきて、事情聴取されました(笑)。このときに聞かれたのは、「あなたが何かやったのか?」ということ。私は一切何もやっていない。相手は先輩でしたから今までしゃべったこともないし、何もしたことがない……そう言うと、そのまま母が動いたのです。まず先生に話したら埒があかない。だから、今度は私をいじめていた張本人と話をしてきたようなのです。あとから聞いた話ですが(笑)。帰って来た母は、「もう心配ないから。明日普通に学校に行きなさい」と言うのです。何を話したかは知りませんけど、夜帰って来て、「何もされないから、絶対に守るから」と。私は本当に学校に行きたくなかった。怖くて、またいじめられると。でも、何も起こらなかったんです。母が言った通りに。
●いじめの対象は変わる
翌日から私はいじめられなくなりました。でも、もしかしたらいじめがなくなったのではなく、次の対象が見つかったのではないか……と言う気もするのです……。先日、同窓会で再会した友人に話を聞くと、いじめていた張本人というのは当時家庭が荒れていたそうなのです。だから、あの子も悪気はなかったんだなって。
20年ぶりにそのことを知らされて……。その子はその子でいろんなつらい思いがあって、そうした気持ちをぶちまけることが『学校でいじめる』とかそういうことなのだなって、複雑な思いでした。
私にとって、いじめられてよかったというのも変な言い方ですが、いじめを受けたことで母の愛情を確信しました。それまで10何年も一緒に暮らしていたのに……。この人は私のことを一生守ってくれる人なのだということを、あの経験がなければ気づかなかったと思うのです。
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