CSR TOYOKEIZAI
第4回東洋経済CSRセミナー 投資にCSR情報は必要か?

第4回東洋経済CSRセミナーのページへ

2015年5月25日






 2015年1月29日に「第4回東洋経済CSRセミナー 投資にCSR情報は必要か?」を開催した。参加者は65名だった。今回はその模様を報告する。



1.講演
2.パネルディスカッション

■講演 「世界の機関投資家が注目する企業のESG情報」

 日本版スチュワードシップ・コード、統合報告、などCSR情報(ESG情報、非財務情報)を活用して株式投資しようという動きが広まっている。
 
 一方で個人投資家をはじめ一般にはまだまだCSR情報と株式投資などとは結びにくいのが現状だ。そこで、今回は、NPO法人 社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長の荒井勝氏に「世界の機関投資家が注目する企業のESG情報」というテーマでご講演いただいた。

【講演者】
荒井 勝(NPO法人 社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長)
=敬称略、役職は2015年1月29日時点

大きく変化する世界の機関投資家

 今、世界の機関投資家が大きく変化しています。特にここ数年で機関投資家がESG(環境・社会・ガバナンス)情報を必要としてきています。日本でもスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードがきっかけになり、今年は転機になるのではないかと思います。

 おそらく、企業の開示担当者からすると、ここ数年であっという間に要求レベルが高まっているといった感じではないでしょうか。これまで日本企業に対して日本の機関投資家からの圧力はあまり高くありませんでしたが、世界の開示レベルは急速に上がっています。

 今日はテキストに私が翻訳した『グリーン投資戦略ハンドブック』を使っていまして、この中の話もご紹介します。この本を翻訳した理由は、まず、海外ではどのように考えられているかを皆さんに知ってもらいたいと思ったからです。

 年金基金の担当者の方はこの本すべてを読んでほしいと思いますし、企業の担当者の方はまずざっと読んで、自分に関係するところはじっくり読んでもらいたいです。また、会社に戻ったら、ぜひ経営層の方に読むことを勧めていただければと思います。

 さて、世界はさまざまな自然環境等の課題に直面しています。それは大きなリスクですが、技術革新等の機会でもあります。

 たとえば、自然エネルギーでは、特に風力発電が有望だとされています。日本で風力発電を行うなら、洋上風力発電が適しているかもしれませんが、漁業権の問題が絡むのが難しいところです。
 地熱発電は火山国の日本では可能性が高い技術ですが、温泉が枯れてしまうという問題があります。こうしたハードルもありますが、企業にとっても大きなチャンスかもしれません。

世界を脅かす水問題への対応

 水問題については、日本は比較的恵まれていますが、世界的には偏在しています。
 水は工業用水の他にも人が直接使う飲料水と食糧の生産に使う水があります。食糧生産に使う水の中でも、米などの農作物より牛の飼育に使う水の方が、はるかに水を消費するとされています。

 このままでは、世界の総人口は2050年に96億人まで増加すると予想されています。さらに多くの人が都市に移動すると、今後、水資源はますます重要になるでしょう。食糧と水の需要は高まっていくことになります。

 水問題の簡単な対策としては、老朽化したインフラを新しいものに更新することが挙げられます。老朽化したインフラを使っていると、たとえば英国では水源から実際に使用するまでの間に水漏れ等で30%程度の水を失ってます。インフラを新しくすることで大きな効果が期待できます。こうした課題解決には企業の力が必要です。また、実際に活動を進める過程や結果などに関連する情報(ESG情報)を公開することで、さらに企業への理解が進むのです。

 では、こうしたESGに関する情報は投資でどのように使えばよいのでしょうか。たとえば、投資の収益率は同じでも、他より二酸化炭素の排出を50%多く削減できている会社があるとすれば、少ない二酸化炭素排出量の企業を選ぶということが考えられます。

 アメリカのカリフォルニア州は、温室効果ガスを30%減らすことを公表した際に、これに反対運動を起こした自動車会社に対して、年金基金が「なぜ反対したのか理由を説明せよ」と迫るという事例もありました。

 こうしたグリーン面を重視した投資は、未公開企業に対しても行っています。もちろん、最終的にどういう技術が社会で選ばれるかは消費者が選ぶものです。ですから、企業はさまざまな技術に取り組む必要があります。

 もし、世界中で日本人と同じ生活レベルを途上国もすると、地球2.3個分が必要だとされています。アメリカ人と同じ生活レベルであれば、5個分です。土、木、水、海など、資源は限られていますから、何十年、何百年の視点で見れば、肉(牛肉)、穀物、水といった多くの資源が足りなくなるでしょう。
 もちろん個人レベルでの対応も必要ですが、これらを多く使う企業とりわけグローバル企業の責任はより大きいといえます。

 だからこそ、環境・社会・ガバナンスなどのESG情報が注目されているのです。全世界のESG投資の規模は12.8兆ドルで、東京証券取引所の時価総額4兆ドルの3倍の規模になります。

 日本政府もアベノミクスでようやく重い腰を上げて、この分野に取り組み始めました。日本版スチュワードシップ・コードに続き、コーポレートガバナンス・コードがまとめられ、少しずつ投資家が利用できるデータも集まるようになってきています。

 世界ではこうした責任投資の重要度が増しています。責任投資は7つに分類されていますが、「社会的責任投資(ESG投資)」は上から2番目の規模になっています。また、「エンゲージメント」も古くからある分野ですが、最近注目されていて同じく3位となりました。

ESG投資はヨーロッパではメインストリーム

 ESG投資はヨーロッパではすでにメインストリームとなっており、投資全体の60%を占めます。アメリカでも20%を占めています。アメリカではリーマンショック後の2013年から急増しています。
 大きな推進役を果たした国連責任投資原則(PRI)は2006年から始まりましたが、現在、世界の1353社が署名し、日本からは31社が入っています。

 資産規模の大きな年金基金、投資運用会社、保険会社などが多いですが、中でも年金機関が重要です。
 これら運用機関は特にESG投資を重視した長期投資が中心です。2014年に日本版スチュワードシップ・コードが制定され、現在、受け入れを表明しているのは175の投資家です。

 このコードはアベノミクスの第3の矢である「成長戦略」に大きく影響を受けています。これにはESGに関する内容が多く入っています。健康経営銘柄やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率の見直しもそのひとつで、今後大きく変わる可能性が高いです。

 世界では統合報告書の重要度が増してきていて、南アフリカでは作成が義務化され、すでに開示レベルの評価で日本を上回ります。さらに他の地域にも開示が広がっています。
 しかし、ESG投資を拡大させるには、まだまだデータの充実が欠かせません。DJSI(Dow Jones Sustainability Index)やMSCI、QUICK、FTSE4Goodなどは企業のESGに対する取り組みを評価したデータを提供しています。企業のデータはアンケートによる回答ではなく、各社の開示情報を使っています。こうしたESGデータを年金基金等が利用しています。

日本企業の取り組みは世界では平均以下

 一方で日本企業の取り組みは世界の平均以下にとどまっています。環境に対する取り組みは世界でもトップクラスですが、社会やガバナンスは平均以下です。
 投資家はESG情報で企業が中長期的にどうなるかを見たいと考えています。こうした分野で企業が取り組みを強めれば、海外の年金基金などが興味を持ってくれます。その結果、安定株主を増やすことにつながるはずです。

 責任投資も時代とともに変わってきました。第1の流れが「宗教的・倫理的動機」でタバコやアルコールなどの会社を除外することでした。第2の流れが「よい会社への投資」で、環境・社会・倫理の取り組みに優れた会社を選択することで、当初はFTSE4Goodなどもそうでした。
 そして、第3の流れが、「ESGの視点に注目した投資」です。
 最近はサステナブル(持続性)が重要とされています。企業だけでなく社会との関わりも重要です。実は責任投資と通常投資との境目がなくなってきているのです。

 このようにESG投資のメインストリーム化が進んでいます。これには資本主義の主役が企業と金融に移ってきていることも大きく影響しています。先進国をはじめとする多くの国で財政の余裕がなくなり、一方では、一国を超える財務力や社会への影響力を持つ企業の存在感が高まっています。それが、スチュワードシップ・コードなどに影響しています。
 これからますます企業の「社会への取り組み」は重要になるでしょう。企業価値や社会価値が重視される中で、企業は取り組みを進めることはもちろん、さらに積極的な情報開示が求められているのです。

質疑応答

Q:Webで公開する場合は網羅的な情報の方がいいのでしょうか?また、公開すべき媒体は紙なのかそれともWebなのでしょうか?

A:マテリアリティ(重要性)に応じて公開するべきでしょう。海外と比べると日本企業の開示は少ないです。会社が出せる情報をきちんと管理して経営層と連携しながら開示すべきです。調査機関は紙とWebどちらも見ています(英語も日本語も)。ただ、レファレンスを充実するのはいいのではないでしょうか。

Q:ESGのものさしは分かりにくいので社内では新聞や雑誌のランキングを気にすることが多いです。ランキングは評価されるのでしょうか?

A :FTSE4Goodも評価やランキングを作っています。こうしたデータは新聞社や東洋経済のランキングなどより詳細になり、使えるようになっています。

■パネルディスカッション 「投資家のCSR情報活用法について考えよう」

 セミナーの後半は、パネルディスカッションを行い、「投資家のCSR情報活用法」について議論した。

【パネリスト】
●荒井 勝(NPO法人 社会的責任投資フォーラム(JSIF)会長)
●杉浦 康之(日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社 社会システム研究所CSR調査室アナリスト)
※2015年4月より「日興リサーチセンター株式会社」に社名変更
●福田 淳(東洋経済新報社 編集局記者)

【モデレーター】
●岸本 吉浩(東洋経済新報社『CSR企業総覧』編集長)
=敬称略、社名・役職は2015年1月29日時点

中長期視点で必要なESGデータ

 ――財務以外の非財務情報はどのように使われているのでしょうか?

■福田:

 私からも専門家のお2人にお聞きしたいと思います。
 
 私も記者として投資家を取材する機会がありますが、「ESGの情報を重視している」とはっきり言う方はいませんし、アナリスト説明会に出席しても、質疑応答の場でESGについての質問もほとんど出ないのが現状です。
 投資家は運用資産を増やすことが目的でしょうから、どうESG情報を利用したらリターンを上げることにつながるのか聞きたいと思います。

■杉浦:
私のところには非財務情報と企業業績の関係を分析するよう依頼が来ることがありますが、非常に難しいです。

 そうしたことを調べるには、そもそも機関投資家はESG情報をどう使っているかを知らないといけません。そこで、ESG情報をどう使っているかを機関投資家にアンケートやヒアリングを行いました。
 その結果、以下の3つの方法で使用されていることがわかりました。

  1. 業績予測をするうえで、本当に利益を出すことができるかの補足情報として使う。
  2. 短期的にV字回復したような場合、その先に企業がどういう戦略を描いているかを知るために使い、中長期的にこの先も保有を続けるかの判断に用いる。
  3. 企業のリスク情報やネガティブ情報として判断に使うため、長期投資の際の売却の情報源として使う。

■荒井:
 中長期の視点で考えると、財務情報だけでは足りないのは明らかです。企業の資金調達は日々のお金は一般的に銀行からの借り入れで賄い、株式による調達では、中長期的な資金として使われます。

 株式の資金提供は、企業の中長期的な価値向上や成長をサポートします。財務情報は過去の結果で、一時点や一期間のものです。これからのことを知るには過去の結果より、企業が現在行っている取り組み(将来も)が非常に大事になってきます。

 他社と比較がしやすく、使いやすいのが財務情報の強みですが、これだけでは、どうやって価値を生むかを知ることはできません。企業の取り組みを評価するために必要になるのが非財務情報なのです。

長期視点での情報提供が必要

 ――では、どのような視点で非財務情報を見ていくとよいとお考えでしょうか?

■福田:
 私は『会社四季報』の記者でもありますので、『会社四季報』を例に考えます。『会社四季報』の文章部分は前半の業績欄と後半の材料欄の2つに分かれています。中長期的な企業の判断材料になる情報は、後半の材料欄に書きます。今期の予想や四季報独自の2期目の予想を立てる際に、非財務情報を考慮しています。

 企業を見る際にはそこまで見ないと記事が書けません。環境や労働問題を抱えている場合は『週刊東洋経済』で問題を指摘する必要もあるので、日頃から確認しています。CSR報告書や『CSR企業総覧』はいつも見ているわけではありませんが、何か問題が起きた時に、情報開示に問題がなかったかを確認する際に使用することはあります。

■杉浦:
 短期的ではなく中長期視点で見ることが必要だと思います。ずっと持ち続ける投資家はその時だけでなく将来のことを意識します。気候変動が起こるとどうなるのか。人権問題にどう対応しているかなどを気にして見ていくとよいのではないでしょうか。
 
 個人投資家にとっても、長く持つ人にとってはESGの観点は重要になるでしょう。ずっと同じ会社を持ち続けるということは、企業と投資家で同じリスクをシェアすることにもなります。そういった意識を持つことも大切だと思います。

■荒井:
 今聞いていて、ちょっと思い出したことがありました。先週ここ(東洋経済新報社)でセミナーがあり、『レリジエントカンパニー』についての発表がありました。講演者(著者)のピーダーセンさんはレリジエントカンパニーとして20社(現時点で上場する19社)、業績を考慮せずに選んだそうですが、後で株式のパフォーマンスをみたところ、16社が市場平均を上回っていたといいます。
 これは実に面白い話だと思いました。

■福田:
 現状ではESGという言葉は一般にあまり知られていません。実際の投資も少ないのが現状です。日本では投信で「環境」などのテーマ株を集めたファンドがよく買われますが、ブームが終わるとすぐに売るという状況になっています。こういう状況が変わっていくことも大切でしょう。

■荒井:
 確かに日本の個人投資家はそうですが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)なども変わりつつあるのではないでしょうか。

評価にはアンケートではなく開示情報を使用

 ―― ここで、会場の皆さんからのご質問を紹介します。スチュワードシップ・コードでどんな変化が起きるのでしょうか?

■荒井:
 企業からも「何をしたらいいですか?」という質問がこれまで多くありました。
 コーポレートガバナンス・コードがなくて、投資家のコードができたのが先でしたから、わからないのも仕方ありません。

 しかし、実際一部の企業は変わろうとしています。DJSIで世界のトップクラスの企業として選ばれた企業数は、直近では、日本企業は韓国企業に負けています。
 日本は333社のうち21社が選ばれましたが、韓国は約60社のうち、23社が選ばれました。数でも割合で見ても韓国の企業の評価が高いのが現状です。

―― 続いて皆さんはESG情報をどのように使ってきたのでしょうか?またはどう使っていけばよいとお考えでしょうか?

■荒井:
 アクティブ運用の場合はまず、ESGの情報開示が悪ければ、まずばっさり最初のスクリーニングで削ります。そして、データを使ってクオンツリサーチを行い、最後に個別に調査を行います。

 私がかつて責任投資のファンドを作った2003年頃は、ガバナンスがしっかりしているところに限定するため、まずガバナンススクリーニングを行い、候補対象を3700社から600社以下に絞りました。その後、社会性評価で300社にしました。マネジメント体制や収益性の調査をして、最終的な企業を絞り込みました。

 責任投資を行うには、透明性を高めなければいけません。アンケート調査には内部情報が含まれている可能性があるので注意が必要です。また、横並びで評価できないといけませんので、アンケート情報ではなく開示情報を用いるようになっています。

■福田:

 横比較可能な形の情報が得られないと投資に使うのは難しいです。たとえば、ガバナンスについて、社外取締役や女性取締役、女性の管理職などの人数や割合をセクター毎に見てダイバーシティ(多様性)等を見たりするといいのではないかと思います。

 環境情報データなどは使うのは難しいような気がします。



■杉浦:

 このようなデータを使う際には情報の捉え方を、注意しなければいけないと思います。その情報の本来の意味を考えなくてはいけません。たとえば、女性管理職が多いということは、平等な評価がされた結果だとも考えられますが、女性の割合が多い化粧品会社の可能性もあります。データには複数の情報があります。誤った扱い方をすると、正しい評価はできません。

 ESGでE(環境)が一番最初なので、環境が中心になりがちですが、企業の評価は実はG(ガバナンス)がベースになります。企業価値を高めるためにも経営層の存在が最も重要です。
 情報を利用者が誤って判断することがあります。統合報告など開示を充実させるのは、ミスリーディングを防ぐためというのも大きな要因だと思います。
 ESG情報は資本市場の効率化のために必要だという考え方が背景にあります。

■荒井:
 投資家は、社会が気にしていることを基準にして、投資に反映しているので、社会の変化によって変わっていきます。世界の機関投資家が何を考えているかをフォローすることは、個人投資家にとっても利益につながると思います。

 また、学術研究によると、ガバナンスがしっかりしていると、パフォーマンスがよく、安定した経営ができているという研究結果も公表されています。

とにかく情報開示がよくなっていくことが大切

―― 企業はどのように情報を開示していけばよいのでしょうか?

■杉浦:
  投資家にとって重要なのはパフォーマンスが上がることです。投資家が見たときに、企業の成長力を感じさせてくれるかどうかが大きいと思います。
 ただ、リターンと同様にリスク(ブレ幅)も重要です。さらに中長期でどのようなリスクがあるのかの開示も必要でしょう。さらにリスクマネジメントの能力も示してほしいですね。ブレ幅が少なく、安定していることは投資家が求めていることでもあります。

■福田:
  開示情報を使って、判断していくというのがブルームバーグなどの調査機関の考え方です。企業はアンケート調査に回答した同じ内容を、Webに公開していくことで情報開示を広げていくといいと思います。
 そうすることでWebにあるものを情報ベンダーも取得することができるようになります。

■荒井:
  統合報告書がずいぶん発行されるようになりました。確かにそれ以前の情報に比べてよくなっているのですが、それでも足りない情報があります。
 
 非財務情報の中で注目されているのが、ESGにあたる環境、社会、ガバナンスです。東洋経済のアンケートもそうですし、他の調査機関の基準も公開されています。ぜひこれらの項目を参考にして、自社に足りない情報を補って、少しでもいい情報開示にして欲しいと思います。

――全体の感想と今後のESGはどうなっていくと思いますか?

■福田:
  今回のディスカッションの内容は刺激的でした。私は銀行の担当で金融庁にも取材に行き、「スチュワードシップ・コード」の動きは見ていました。企業から「そこまで開示するのは難しい」という声がありながら、始めたということでこれから重要性は増し、大きく変化していくことになると思います。今後もウォッチしていきます。

■杉浦:
 私は必ずESGの時代が来ると思っています。まずは「コーポレートガバナンス・コード」の時代が来ると思います。環境、社会面を取り上げることは難しいですが、これからは開示制度としてどうしていくかが課題になりそうです。
 会計制度や開示基準と、中長期的視点による投資によってESG投資が広まっていくのではないでしょうか。

■荒井:
 今後重要なのは企業の開示がよくなることです。情報がないと投資家も投資できません。まずは企業が適切な情報を開示していくことが必要だと思います。

――どうもありがとうございました。

今回のセミナーを終えて

 ESGという言葉も少しずつ認知度が高まってきている。こうした情報を使った投資は機関投資家中心に増えているようだ。しかし、ESGデータの利用は個人投資家はもう少し先で、まずは年金基金などが中心になりそうだ。

 その際に、企業が自主的に開示する情報を使って投資するスタイルが広がるべきという話もあった。一方で基準がマチマチのデータが大量に出てきてもおそらく使う側にとっては非常に不便なデータになるだろう。明確な基準ができあがるまでは統一フォーマットの実現も難しそうだ。
 まだアンケートで集め、まとめてお使いいただく時代が続きそうな気もする。

※次回の第5回セミナーは2015年5月27日に開催します。
 お申し込みは下記画像をクリックしてください。
CSR seminar 5

Copyright(C) Toyo Keizai, Inc., all rights reserved.