しかも、ユーザー数が品質に直結する行動ターゲティング広告などネット広告の高度化は加速している。
ヤフーは記事提供元に対して、自らの広告配信プラットフォームを提供。既存メディア側にとっては単独では集められない広告をヤフーから得られる。一方で、ヤフーは広告在庫を拡大、ヤフー内部だけでは対応しきれなかった広告主の需要に応じることが可能になる。
このようなヤフーの広告の多くは、電通子会社のサイバー・コミュニケーションズなどネット広告代理店を通じて調達されるため、直接的にはヤフーは電通などと競合しない。ヤフーの井上社長も「広告会社とも敵対せず、一緒にやっていける」と語る。もっともネット広告代理店の手に落ちる取次手数料は競争の激しさから極めて薄利なのだが……。
では、独り勝ちともいえるヤフーの広告ビジネスに死角はないのか。
最大のリスクは、実は「独り勝ち」しすぎることである。コンテンツを作るのはヤフーではなく、あくまで既存のメディア企業。彼らが、従来の収益基盤をインターネットに侵食され、体力を消耗すれば、ヤフーのコンテンツの品質が下がる。これが進めばヤフーは自らの首を絞めることになるからだ。
「ヤフーと既存媒体は共存共栄。ヤフーの収益力を既存媒体に還元する仕組みを強化する」
経営幹部から現場まで最近、ヤフー関係者がよく口にするのはこの言葉だ。自らの成長と高収益体質を維持しながら、既存メディアの生き残りをどうサポートするか。日本のネットの覇者は、微妙な舵取りを求められるステージに入っている。

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(週刊東洋経済)
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