一方、そのリーマン出身幹部の流出が最近、尋常ではない。今年3月、アジアの株式部門、債券部門、投資銀行部門の3人のヘッドが相次ぎ野村を去った。4月には欧州の投資銀行部門ヘッドも退社。買収時に契約した報酬保証の期限切れが一因としても、優秀な人材の保持が重大な課題となってきた。この4月から最高意思決定機関である経営会議のメンバー(計11人)にリーマン出身者を初めて起用したが、人材離脱を食い止める意図も指摘される。
折から米国では、大手金融機関が10年1〜3月期の決算を発表。ゴールドマンの純利益は約3200億円と、野村の10年3月純利益678億円の約5年分を、3カ月でたたき出した計算だ。この膨大な格差の背景には世界最大市場・米国での収益力の差があり、M&Aなどの巨大案件獲得を可能とするグローバルネットワークの差がある。
現在、野村はリーマン買収では対象外だった米国拠点を自前で急拡大している。トレーディング部門を中心に、人員は08年8月の約900人から10年3月には約1600人まで増えた。過去2度にわたり巨額損失を計上し、縮小に追い込まれた米国での再挑戦。昨年の巨額増資資金を注ぎ込んでいるだけに、まさに経営責任がかかっている。
野村の「外資化」は、日本証券界にとっても“歴史的実験”。その試行錯誤はまだ始まったばかりだ。
リーマンの欧州・アジア部門買収から1年半。「内なる国際化」を旗印に体制を変更。だが、それは茨の道だ。
■野村ホールディングスの業績予想、会社概要はこちら

(中村 稔 =週刊東洋経済2010年5月1日号)
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