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今や流通ナンバー3、家電王者・ヤマダ電機が成長へ“奇策”《特集・流通大乱》(1) - 09/01/30 | 17:30

 1月初旬、家電業界に静かな衝撃が走った。老舗パソコン量販チェーン・九十九(つくも)電機が、全事業をヤマダ電機に譲渡すると決めたのだ。秋葉原に本店がある九十九は店舗数こそ首都圏などに13店と少ないが、パソコン関連の豊富な品ぞろえでデジタルファンの支持を得てきた。が、パソコンブーム一巡後の成長鈍化に、融資返済が重なり経営悪化、民事再生法適用を申請していた。

 ヤマダは九十九の事業譲受で、専門性の高い商品の販売ノウハウや都市部の拠点を手に入れる狙い。安値合戦と消費減速のダブルパンチで同業が次々と赤字に沈む中、アキバのシンボルと呼ばれた老舗チェーンを譲り受ける一幕は、ヤマダの鼻息の荒さを業界にあらためて印象づけた。

 創業25年で家電量販首位の座に君臨するヤマダ。売上高1兆7678億円(2008年3月期)は2位のエディオンの倍以上。流通業全体でもセブン&アイ、イオンに次ぐ。創業者の山田昇会長は、国内家電販売市場の3割強に相当する年商3兆円までは成長絵図が視野にあると公言する。その戦略の表層にあるのが九十九のような同業買収と、三越池袋店跡への出店(09年秋予定)に代表される都市部への大型店展開だ。そして深層では、流通業界全体を脅かす進化が始まっている。その最先端が本社に併設される大型店舗・ラビワン高崎店にある。

 地下1階に下りると、大衆医薬品とトイレタリー商品が並ぶドラッグストアが広がる。向かいには雑誌や漫画本などの書籍コーナー。さらに隣の食品コーナーでは菓子やアルコール類、牛乳、弁当などが並び、午後3時を過ぎると日配品の値引き販売もある。まるでスーパーの店内に足を踏み入れたようだ。

 ヤマダは08年春に医薬品販売への参入を表明するなど、ここ1〜2年、非家電商品の販売を急速に強化している。大阪・なんばの店舗などでは中古車販売まで手掛ける。非家電商品の調達・販売ノウハウは02年に買収したディスカウントストア・ダイクマなど過去のM&A先から吸収した。現在は全国約1300店の半数以上で何らかの非家電品を販売している。

年商3兆円は「三位一体戦略」で追う


 岡本潤専務は「当社はあくまで家電販売業。(非家電は)品ぞろえと利便性の向上で集客力をアップし、家電販売の拡大につなげるため」と語る。確かに現状、非家電は各店売上高の3〜5%を占める程度だ。

 だが、従来成長の武器とした価格力は非家電でも発揮されている。チラシの目玉商品の価格は地域のドラッグストアやスーパーより安く設定するのが鉄則。これが業界を震撼させている。高崎の店舗から徒歩圏内の酒店従業員は「ヤマダが酒を売り始めてから客足が鈍ってきた」と厳しい顔。「セブン&アイも客に紛れて調査に来る」(流通関係者)。

 しかも非家電でも家電購入と同様にヤマダのポイントが利用でき、通常なら定価販売しかありえない新刊書籍でも3〜10%のポイントを獲得できたり、すでに獲得したポイントで購入できたりする。ポイント経済の生態系としてとらえれば、多くの流通業態にとって年商1・7兆円規模のライバルが浮上したといえる。

 ポイント経済のスケールを最大限に生かす一方、地道を極める“スモールビジネス”でも着々と布石を打つ。パナソニックや東芝など電機メーカー系列の専門販売店など、町の小規模な電器店をフランチャイズチェーン(FC)とボランタリーチェーン(VC、独立した小売業者が連携し、調達・物流を共同化する仕組み)として吸収しているのだ。FC事業子会社のコスモス・ベリーズはすでに750店を傘下に収めた(下グラフ参照)。町の電器店にとって量販店は最大の敵。その軍門に続々と降るとはどうしたことか。

すでに750店がヤマダの軍門に
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