問題の本質は「電子ブックのコンテンツはいったい誰のものか」ということだ。紙の本であれば購入した人のものだ。一方、アマゾンの購入契約では、電子書籍コンテンツの権利はソフトウエアのライセンスに準じている。内容の変更や削除を行っても、コンテンツの購入者は文句が言えない。いわば利用権にすぎないのだ。利用と所有を選べるようにするなど、電子ブック時代に合わせたルール作りが急務だ。
課題はある。とはいえ、出版社にとって、デジタル化の流れは、大きなチャンスだ。これまで紙の本は貸し借りができたが、デジタル化は制限を加えることができる。中古本の2次流通も根絶できる。誤植があった場合の改訂作業も低コストで行える。表現方法も変わる。すべて完成してから販売するのではなく、第一章から段階的に販売する、という500年続いた紙の時代には考えにくかった手法も可能になる。
米国で書籍の販売は年3%以下の成長率。新聞や雑誌は売り上げが毎年減り、ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズなどの名門新聞社までもが、経営危機に陥るご時世だ。そんな中、小さいながらも前年比で6割以上の伸びを示す電子ブック事業に対する期待は、高まるばかりだ。

(週刊東洋経済)
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