ここで威力を発揮するのが、何のことはない、産学連携を呼びかけるたった1枚のチラシ(下写真)だ。飛び込み先でも「産学連携もやってます」とチラシを見せると、すぐに社長が出てくることも多いという。社長から「次回、大信さんが来たら引き留めておいて、と言われた」と社員が応対することもしばしば。中小企業が抱える潜在的ニーズの深さと切迫度の裏返しだろう。
いったんプロジェクトが動き出し、資金ニーズが発生した場合も、動きは速い。コーディネーターは開発段階の状況を企業・大学双方に接して熟知しているため、融資のタイミングや条件、公的支援の申請も的確に行えるメリットがあるからだ。
前出の鉢嶺研究員も「産学連携は、企業のニーズを大学がサポートするのが現実的で成功例も多い」と指摘する。とはいえ、両者の思考形式やスピードは食い違うこともしばしば。だからこそ「金融機関など調整役の存在が大事」(鉢嶺氏)になる。
目詰まりを起こしている「産学連携」というパイプに、勢いよく水を通すことで、不況にあえぐ中小企業に再生のチャンスが生まれる。中小企業の一大集積地である大阪で、地元信金を扇の要に進める産学連携には、そのヒントが詰まっている。

(福田恵介 =週刊東洋経済2010年3月6日号)
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