また、移植を受けた患者にとっても、震災の影響は大きい。移植後は免疫抑制剤の服用で移植された腎臓との拒絶反応を防止する必要がある。だが、「腎移植をしている病院は限られているため、震災のような緊急時に免疫抑制剤が切れた場合には入手が非常に困難になる」と相川教授は指摘する。
今回も、東邦大学大森病院に羽田空港で足止めになった腎臓移植後の患者から、免疫抑制剤を処方して欲しいとの要請があった。しかし、薬剤の処方は患者の診察が必要のため、このような要請には応じることができない。免疫抑制剤は病態が安定している患者でも個々によって種類や量を微妙に加減する必要がある、という難しさもある。
東邦大学大森病院では非常用の自家発電装置があり、震災後も透析、移植手術とも通常どおり行っている。ただ、今後は電力需要期の夏場にさらなる計画停電なども予想されている。被災地では、金澤さんのように透析患者がなかなか病院までたどりつけない例があった。また、多くの医療機関で、ベッド不足という深刻な問題を抱えている。
長期化が予想される今回の震災の影響。個々の病院や医療スタッフの努力だけではなく、行政には現在の医療体制の問題点を注視したうえで、さらなる備えが求められている。
(麻田 真衣=東洋経済オンライン)
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