国も対応策として医学部の定員増などで底上げを図るが、産科医不足が今すぐ解消できるわけでもない。このため愛育では「基準を超える超過勤務について待遇を手厚くしている」(中林院長)。当直料の相場は2万円程度だが、3万〜6万円を支払ってきた。急増する女性医師に対しても「5年後、10年後を見越して、子育て中の当直を免除する」(中林院長)と医師確保に懸命だ。
一方で固定給与の都立病院は賃金面での対策が難しい。たとえ柔軟な手当てができても、激務はバーンアウト(燃え尽き症候群)を招く懸念もある。労働基準の見直しは両刃の剣になりかねない。
都は愛育に対し、総合センター継続を要請している。4月上旬の協議会で超過勤務の見直しが示されれば、愛育も継続を検討する方針だ。周産期医療の要である愛育の“返上”問題は、深刻化する医師不足を改めて浮き彫りにする格好となった。

(前野裕香 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
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