東洋経済は、全国の全都市を対象とした「住みよさランキング」を毎年算出し、『都市データパック』で公表している。このランキングは、各都市における住みよさを、安全性、利便性、快適性などにかかわる各種社会経済指標(全都市のデータを母集団とする偏差値の平均)から評価したものだが、評価のために採用しているのは当該都市のデータのみだ。
たしかに市町村は地方自治・行政の基礎単位であり、住民は行政による住民サービスの多くを居住市町村で受けている。しかし、行政サービス以外の各種都市機能を利用する場合、得られる効用と時間距離やコストを勘案し、居住市町村の枠にこだわらずに選択を行っているのが現実である。
そこで、ここでは当該都市のデータだけを用いるこれまでの算出方式に加え、住民の生活行動の空間的な広がりを反映した新たな方式を用いて行った「住みよさランキング」の試算結果を報告したい。
住みよさランキング
■従来方式 上位1〜30位
■新方式A(20%通勤圏) 上位1〜30位
■新方式B(10%通勤圏) 上位1〜30位
算出に当たっては従来・新方式とも、既にデータの整備を終えている4カテゴリー12指標を採用。新方式では、このうち生活圏の広域化(生活行動が市町村の枠を超えて広がっている)の影響が大きいと考えられる2カテゴリー4指標――(イ)病院・一般診療所病床数、(ロ)介護老人福祉・保健施設定員数、(ハ)小売業年間販売額、(ニ)大型小売店店舗面積――について、通勤流動データ(国勢調査 従業地・通学地集計(05年))に基づく補正を行った。
補正の手順としては、A市に住む就業者の20%以上がB市に通勤している場合(A市はB市の20%通勤圏)、A市はB市と一体的な都市圏域を形成しているとみなし、上記4指標に関してA市・B市のいずれか高い方をA市の水準として扱う。同様に、A市に住む就業者の10%以上(20%未満)がB市に通勤しており(A市はB市の10%通勤圏)、B市の水準がA市を上回る場合、両者の平均値をA市のデータとして用いた。
05年「国勢調査」によると、09年3月末時点の全国784市(783市と東京区部)のうち、いずれかの都市の20%通勤圏となっているのは193市、10%通勤圏となっている都市を合わせると過半の426市になる。このうち、上記の条件に合致して20%通勤圏補正を行ったのは、指標(イ)で132市(10%通勤圏補正を含め296市)、指標(ロ)で75市(同162市)、指標(ハ)で183市(387市)、指標(ニ)で134市(281市)に上った。
今回は、この新方式によるランキング結果を試算として従来方式によるものと並べて示した。大都市圏を構成する都府県を中心に、従来方式に比べて順位を上げる都市がみられる。特に東京区部や大阪市に近接し、小売商機能をはじめ高次都市機能へのアクセスが容易な首都圏・近畿圏の中小都市の順位上昇が目立ち、従来方式で16市だった総合評価上位50位以内の都市は、新方式A(20%通勤圏補正)では24市に増える。新方式Aでトップとなった稲城(東京)をはじめ、多摩(東京)、浦安(千葉)、関西圏では芦屋(兵庫)、中部圏では日進(愛知)などが好例である。
また、地方圏では、県庁所在地など広域中心都市や生活圏の中心都市がポジション自体は総じて高いものの順位を落とす一方、これら地方中心都市に隣接して比較的強い結びつきをもつ小規模都市で順位の上昇がみられる。下位都市の顔ぶれや順位の従来方式との違いもこうした事情によるところが大きい。
(『都市データパック』編集部)
(最新データに基づく結果の詳細は4月下旬刊行の『都市データパック2009年版』を参照されたい。また、最終的なランキング順位は、最新データの反映により変動する可能性がある。)
※ランキングの算出方法などへのご意見等は、東洋経済オンラインお問い合わせフォームよりお願いします。
たしかに市町村は地方自治・行政の基礎単位であり、住民は行政による住民サービスの多くを居住市町村で受けている。しかし、行政サービス以外の各種都市機能を利用する場合、得られる効用と時間距離やコストを勘案し、居住市町村の枠にこだわらずに選択を行っているのが現実である。
そこで、ここでは当該都市のデータだけを用いるこれまでの算出方式に加え、住民の生活行動の空間的な広がりを反映した新たな方式を用いて行った「住みよさランキング」の試算結果を報告したい。
住みよさランキング
■従来方式 上位1〜30位
■新方式A(20%通勤圏) 上位1〜30位
■新方式B(10%通勤圏) 上位1〜30位
算出に当たっては従来・新方式とも、既にデータの整備を終えている4カテゴリー12指標を採用。新方式では、このうち生活圏の広域化(生活行動が市町村の枠を超えて広がっている)の影響が大きいと考えられる2カテゴリー4指標――(イ)病院・一般診療所病床数、(ロ)介護老人福祉・保健施設定員数、(ハ)小売業年間販売額、(ニ)大型小売店店舗面積――について、通勤流動データ(国勢調査 従業地・通学地集計(05年))に基づく補正を行った。
補正の手順としては、A市に住む就業者の20%以上がB市に通勤している場合(A市はB市の20%通勤圏)、A市はB市と一体的な都市圏域を形成しているとみなし、上記4指標に関してA市・B市のいずれか高い方をA市の水準として扱う。同様に、A市に住む就業者の10%以上(20%未満)がB市に通勤しており(A市はB市の10%通勤圏)、B市の水準がA市を上回る場合、両者の平均値をA市のデータとして用いた。
05年「国勢調査」によると、09年3月末時点の全国784市(783市と東京区部)のうち、いずれかの都市の20%通勤圏となっているのは193市、10%通勤圏となっている都市を合わせると過半の426市になる。このうち、上記の条件に合致して20%通勤圏補正を行ったのは、指標(イ)で132市(10%通勤圏補正を含め296市)、指標(ロ)で75市(同162市)、指標(ハ)で183市(387市)、指標(ニ)で134市(281市)に上った。
今回は、この新方式によるランキング結果を試算として従来方式によるものと並べて示した。大都市圏を構成する都府県を中心に、従来方式に比べて順位を上げる都市がみられる。特に東京区部や大阪市に近接し、小売商機能をはじめ高次都市機能へのアクセスが容易な首都圏・近畿圏の中小都市の順位上昇が目立ち、従来方式で16市だった総合評価上位50位以内の都市は、新方式A(20%通勤圏補正)では24市に増える。新方式Aでトップとなった稲城(東京)をはじめ、多摩(東京)、浦安(千葉)、関西圏では芦屋(兵庫)、中部圏では日進(愛知)などが好例である。
また、地方圏では、県庁所在地など広域中心都市や生活圏の中心都市がポジション自体は総じて高いものの順位を落とす一方、これら地方中心都市に隣接して比較的強い結びつきをもつ小規模都市で順位の上昇がみられる。下位都市の顔ぶれや順位の従来方式との違いもこうした事情によるところが大きい。
(『都市データパック』編集部)
(最新データに基づく結果の詳細は4月下旬刊行の『都市データパック2009年版』を参照されたい。また、最終的なランキング順位は、最新データの反映により変動する可能性がある。)
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