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《不確実性の経済学入門》地震予知は当たらない?(1) - 08/09/10 | 12:30


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 1985年、アメリカの地球物理学者の研究グループが発表した報告に、米国は震撼した。サンフランシスコ近郊、パークフィールドという農村地域の下にある断層ではマグニチュード6クラスの地震が約22年の周期で発生している、と発表したのだ。

 これを受け米政府研究機関は「次の大地震は88年前後に95%の確率で発生する」という異例の予知情報を発表した。もし、このとおりに地震が起これば、世界で初めての地震予知成功例となる。米国では大規模な地震観測網が整備され、行政当局は市民への警戒を促した。この年、米国民は異様な緊張感を持って米西海岸を注視したが、結局、何も起きなかった。その後、マグニチュード6クラスの地震が発生したのは2004年9月のことである。

 地震とはいわば地殻にたまった歪みを解消する現象である。プレートのずれ込みなどで地下の岩盤が徐々に圧迫されて蓄積された歪みがある瞬間、一気に解放されて大地震を引き起こす。地震予知の主眼は、この蓄積された歪みの兆しを察知することにある。

 地殻の変動や地下にあるガス濃度の異常など、さまざまな手段によって予知が試みられてきた。しかし「今まで一度も成果を上げた例はない。成功したという報告もその後の綿密な検証に耐えることはできなかった」(東京大学大学院で地震学を研究するロバート・ゲラー教授)。

 日本では65年に地震予知研究が始まり、これまでに約3000億円の税金を投じ、主に東海大地震の発生を想定した予知研究が行われている。現在、気象庁が主な観測対象にしているのは大地震発生の数時間前に起こると考えられている「プレスリップ」と呼ばれる現象だ。

 プレスリップとは大地震が発生する前、震源域の一部がまずゆっくりと滑り始める現象を指し、主として日本の地震学者がシミュレーションモデルによって示してきた。気象庁ではGPS(人工衛星による地表観測)や地震計のほか、「歪計」という特殊な計測装置を静岡県などに張り巡らし、24時間体制でプレスリップ現象の監視を行っている。

 さらに日本で特徴的なのは、地震予知ができることを前提に「有事立法」による予防体制が採られていることだ。総理大臣の出す警戒宣言に基づき、あらゆる交通機関の運休・閉鎖や、生産・商業活動の停止などが盛り込まれている。警戒宣言による避難訓練は毎年9月1日の防災の日の恒例行事になっている。

 ところが、肝心のプレスリップは現時点では理論モデルで示唆されているにすぎない。海外でもプレスリップが確認されたという事実は報告されていない。

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