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心身両面で子どもを放射能から守る努力を――ナターシャ・グジー 歌手/バンドゥーラ奏者 (3) - 11/05/31 | 12:18


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 子どもたちや妊婦は、原発から遠く離れてほしい。遠くに逃げて自分の体を守ってほしい。放射能はにおいや色もない。触ることもできない。でも、とても恐ろしいものなのです。そんな恐ろしい場所の近くで生活したり通学したりすることはとても危険だということを、私は身にしみてわかっています。

 影響は今日、明日中に出るものでもありません。すぐに亡くなった人もいましたが、私の同級生のように数年、あるいは十数年後に亡くなった人もたくさんいる。安心してはいけないのです。

──ナターシャさん自身も、不安にさいなまれたことと思います。

 音楽が心の苦痛を救ってくれました。キエフの学校で民族弦楽器「バンドゥーラ」に出合ったことが精神的に私を支えてくれました。

 避難所で放射能のスクリーニングをやっている光景をテレビで見て、とてもショックでした。子どもにとって放射線検知器を体に向けられること自体、とてもストレスになります。大人は分別を持って、また知恵を持って考えられますが、子どもはまだそんな能力を持っていない。だからこそ、大人が子どもの分まで考えて、守る必要があるのです。

 体の健康を守ることが大事ですが、「心の健康」も大事です。音楽でもいいし、スポーツでもいい。何か打ち込める、不安を一時でも打ち消すことができるような機会や場を用意することが、福島の子どもたちに必要となってくるはずです。

 コンサートなどで訪れた東北地方は自然が美しく、私の心に近い場所です。「私たちが最後」と考えていた原発事故が、そんな東北で起きた。そして、私も日本にいる。私の経験を日本の人に伝えることは運命なのだ、と思うようになりました。

 自分のつらかった経験を福島の子どもたちが経験する可能性がある、と考えると胸が張り裂けそうです。歌手活動に加え、子どもたちを放射能が少ない場所で一時的に生活できるよう手助けするなど、子どもたちの力になれればと考えています。

Nataliya Gudziy
ウクライナ生まれ。6歳のとき、チェルノブイリ原発事故で被曝。キエフ市の音楽学校で民族楽器「バンドゥーラ」を学ぶ。1996年に民族音楽団の一員として初来日、2000年から日本で本格的な音楽活動を開始。CDブック『ふるさと』など作品多数。

(聞き手:福田恵介 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年5月21日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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