氏家齊一郎・日本テレビ放送網取締役会議長――テレビ広告はさらに減る、生き残るのは2〜3社だ(3) - 09/02/09 | 17:31 |
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――放送だけでなく音楽、映画などさまざまなエンターテインメント事業を強化していく、という戦略を進めているテレビ局もあります。
ウチもそれはやっている。いろんなことをやるんだが、結局それは決定的な力になりえない。
映画でいえば去年、一昨年と当たったのは、みんなテレビ系の映画でしょう。いちばん当たったのは、日本テレビ系の『崖の上のポニョ』だけれども、安定的な収入を期待できるものではない。よくてもプラスアルファ程度。通販をやってみたり、インターネットに有料番組を流してみたりしても、経営基盤をきちんとまとめるような力はなっていない。だからこそ本業の力を高めることが重要になる。
――どのチャンネルを見ても同じような番組をやっているように見えてしまう。制作費を削減するために、スタジオ撮りのバラエティ番組ばかりが目立っています。
確かに、今はどこを見ても同じようなことをやっている。これは13歳から49歳までのコア、しかもF1・F2という女性を対象にした番組作りをするから。スポンサーは、そこに対して遡及力がどれだけあるかで広告を決めるため、どうしてもそこの人たちにおもねるものをつくる。
娯楽番組であるかぎり、それはそれでいい。ただ、そんなことばかりやっていたら飽きられる。その危機感を現場は持っている。テレビがやるべきテーマ、新しく発掘しなければいけないテーマというのは、やはりある。「ハケンの品格」「女王の教室」「14才の母」などのドラマが当たったが、これらは国民が潜在的に大きな問題だと感じてはいるものの、なかなかオープンにはできないテーマを扱っている。
たとえば「女王の教室」は受験競争を扱っている。受験競争をやれ、それが現実なんだと先生が言うわけだ。みんな本音はそう思っている。何とか自分の子供をいい学校に行かせたいと思うんだ。だけれども、それをなかなかオープンにはできなかった。しかし、ドラマで取り上げると、多くの視聴者が付いた。
「ハケンの品格」「14才の母」もなかなか正面からは取り上げることが難しい今の社会問題をドラマとして取り上げている。こういう問題を取り上げることは、非常に社会的な意義があるし、みんな見てくれる。
今後の基本的なわれわれの番組のつくり方は差別化だ、絶対に均一化じゃないぞと。うちの制作はわかっていると思う。
――広告が急減する厳しい経営環境の中で、地上デジタルへの移行も進めていかなければならない。特に、地方局の一部には経営が厳しくなっているところも目立ちます。
難視聴地域への中継局設置などは本来、国がやるべき。空港を考えればいい。空港を使うのは各航空会社とそこを利用するお客さん。だったら航空会社が空港を造れ、という議論にはならない。なぜなら空港は公共のものだからだ。放送も同じこと。デジタル化というのは、電波の利用効率をよくするためにやっている。電波の利用効率をよくすれば、これから新しい参入者も出てくる。なのに、そのインフラ投資を今ある放送局がほとんど負担しなければならないのは、本来はおかしいんだ。
――デジタル投資で経営難に陥る地方局が出れば、キー局の立場として、全国ネットを維持していく必要もある。そのために認定持ち株会社により、キー局がローカル局を助けるスキームが認められています。
地方の中には、たとえば東京のキー局よりも給与水準が高いところがある。その地方における給与水準と比べてケタ外れに高いところがある。そういった面で合理化を図っていくのが最初。合理化も行っていないのに助けることはありえない。
うじいえ・せいいちろう
1926年生まれ。51年読売新聞社入社。同社常務取締役を経て、82年日本テレビ副社長。一時退任後、91年に復帰し92年社長、2001年会長兼CEO、05年取締役会議長。
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