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財布の中身の奪い合いから、個人の時間を奪い合う時代――林野宏・経済同友会消費問題委員会委員長(クレディセゾン社長)(1) - 09/09/02 | 14:20


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 未曾有の消費低迷が続く。消費構造が大きく変化する中で、不況による雇用と所得の減退が、個人消費を悪化させた。百貨店出身の林野宏委員長(クレディセゾン社長)は、消費構造の変化は「起こるべくして起こった」と現状分析する。

――長引く消費低迷の要因には消費構造の変化が大きい。これを、どのように分析していますか。

 少子高齢化だとか、あるいは商品が行き渡ったとか言いますが、それとは別に消費者が変わってきた。これまでは『マズローの欲求5段階説』で言うところの「所属欲求」(みんなと同じブランドを持ちたい)といった平等意識が支えていましたが、もはやそういうものでは動かなくなった。「自己実現欲求」(自分にとって特別なものを持ちたい)という形で、消費が自分化している。

 消費市場も「こだわる人」(感動や特別な喜びを、付加価値を反映させた適切な価格で提供)向けと、「こだわらない人」(基本的な機能を満たしながらも圧倒的な低価格路線の商品を提供)向けに二分化していき、個人の側でも「こだわる消費」と「こだわらない消費」に分かれていく。差別性の少ない大量商品の大量供給は競合激化し、百貨店やスーパーなどの業態は淘汰されている。生き残りのため、メーカー品をPB(プライベートブランド)化するなど、低価格追求に向かう。小売りの中で堅調だったコンビニエンスストアも、タスポ効果が一巡すれば、同じ厳しい状況に見舞われる。

 その中でマーケットを席巻しているのが、ユニクロやニトリといったSPA(製造小売業)。独自のマーケティングでオリジナルな商品開発を手掛けていくビジネスが、消費者に評価されている。こういった一連の消費構造の変化が、昨年秋のリーマンショック以降に極端な形で顕在化してきたと思う。

――特に百貨店が消費者から見放されてしまった要因は。

 私は百貨店に入社したからよくわかるのですが、たとえばアパレルメーカーのケースで言いましょう。百貨店は商品と一緒に販売員も派遣してもらっていた。商品が余ると返品し、売れた分だけ仕入れる仕組みです。その代わり、価格決定はメーカー側が行う。だから、どこの百貨店に行っても同じ商品は同じ価格だった。販売もメーカー任せなので百貨店側に販売や仕入れのノウハウが蓄積されにくかったのです。

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