M2M特集

徹底解説!M2M市場の最前線〜リーディング企業の取り組み〜

制作:東洋経済広告企画制作部

機器をネットワークにつなげさまざまなデータを収集・活用

森川 博之 東京大学先端科学技術研究センター教授
森川 博之
Hiroyuki MORIKAWA 東京大学先端科学技術研究センター教授
1987年東京大学工学部電子工学科卒業。1992年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1997年東京大学大学院工学系研究科助教授。1997年〜 1998年コロンビア大学客員助教授。2002 〜 2006年NICTモバイルネットワークグループリーダーを兼務。2006年東京大学大学院工学系研究科教授。2007年〜東京大学先端科学技術研究センター教授。ユビキタスネットワーク/コンピューティング、新世代インターネット。モバイルインターネット/コンピューティングなどの分野で活躍。総務省情報通信審議会、国土交通省交通審議会専門委員等

―― そもそも「M2M」というのはどのような概念なのでしょうか。「ユビキタス」と同じような考え方ですか。

森川 「ユビキタス」とは、あらゆるものがネットワークにつながる社会です。私は、「M2M(Machine to Machine)」は、それを実現するための基盤となる技術でありサービスであると考えています。M2Mは、さまざまな機器がネットワークに接続され交信し合うことで、新たな機能を生み出す技術です。ただし、明確な定義があるわけではなく、日々進歩発展しています。

 M2Mという言葉が注目されるようになってきたのは最近で すが、すでに多くの機器が通信モジュールを介してネットワークにつながり、さまざまな情報をやり取りできるようになっています。たとえば、たばこや飲料の自動販売機は、売れ行きや在庫などの情報をリアルタイムで送信しています。大手建機メーカーでは、自社が販売した建機に衛星利用測位システム(GPS)と連動する通信モジュールを搭載し、稼働状況などの情報を収集し、メンテナンスの提案に役立てています。

―― M2Mは、さまざまな分野で活用できそうです。有望なサービスはありますか。

森川 流通業における在庫確認などのほか、医療・福祉、建築・土木、電気・ガス・水道などのインフラ、環境など、幅広い分野で利用できます。自動販売機であれば、気温などのデータを測ることで、販売チャンスにつなげることができます。

 最近になって、張るタイプの血圧計が登場していますが、これをネットワークにつなぎ、患 者さんの血圧データを日常的に収集すれば、病気の治療や予防医療にも役立つでしょう。

 建物や橋梁、道路、下水道管などにセンサーを付け、形状の変化などの情報を収集すれば、防災やメンテナンスに活用できます。