東洋経済マネージメント・フォーラム in 大阪

「最強の業務改革」で現場の情報を最大に活用し、意思決定のスピード化を図る!

事業環境が厳しさを増す中、生産性の向上、意思決定のスピード化、さらに現場での情報活用は多くの企業にとって大きな課題となっている。そこで東洋経済は11月29日、大阪国際会議場にてビジネスモデルの変革や業務生産性向上などの「業務改革」をテーマにフォーラムを開催した。
制作:東洋経済広告企画制作部

■基調講演 最強の「業務改革」とは

A.T.カーニー パートナー 栗谷 仁氏
栗谷 仁 氏
A.T.カーニー
パートナー

 基調講演では、業務オペレーション改善のほか、ビジネスモデル改革、事業構造改革などによる企業の収益力改善・競争力強化の支援で豊富な実績のある、A.T.カーニー パートナーの栗谷仁氏が、「業務改革」を成功させるためのポイントを解説した。
 栗谷氏は、業務改革は「ビジネスモデル変革(Model:M)」、「オペレーション改革(Operation:O)」、「キャパシティー最適化(Capacity:C)」の三つの要素から改革することが必須とし、それぞれについて、求められる改革の視点を説明した。
 たとえば、「ビジネスモデル変革(M)」であれば、企業が提供する価値の「発揮」、「拡大」、「コアへの集中」といった視点である。「オペレーション改革(O)」の視点としては、「業務」、「VOC」、「内製・外製」、「組織構造」、「PDCA」といった論点から対策を行うべきとした。また、「キャパシティー最適化(C)」では、出口戦略(余剰人員の対応戦略)なくして間接業務の効率化は進まないと指摘した。
 栗谷氏はさらに、業務改革では、結果の見える化およびプロセスの見える化が重要とし、そのためにも、業務改革における「情報化」に意義があると指摘した。

■事例講演 経営に貢献する情報活用基盤

大阪ガス 情報通信部 企画管理チーム 副課長 柴田 雅博 氏
柴田 雅博 氏
大阪ガス 情報通信部
企画管理チーム
副課長

 先進の事例として、全社的なデータ活用に率先して取り組んでいる大阪ガスによる講演が行われた。
 大阪ガス 情報通信部 企画管理チーム副課長の柴田雅博氏は、事業環境が厳しく変化する中で、「Field of Dreams 2020」と呼ばれる2020年度の経営計画を実現するために、顧客先業務の高品質化、オフィス環境のインフラ整備などの「スマートワーク」を進めているとし、そのためには、見える化とデータ活用を進め、PDCAサイクルを高速に全社レベルで回転させることが必要と話した。
 全社的にデータ活用を促進するために、同社が推進している総合的な支援サービスが「DUSH(Data Utilization Support & Help)」活動である。同活動により、スタッフ・管理監督者のデータ活用力を高め、業務効率化と有効な施策立案を支援することに加え、経営者のタイムリーな経営判断の支援、さらには、データ活用業務全般の効率化やIT投資額の削減も目指している。同社では、基盤の整備のみならず、「DUSHセンター」を通じて、社員のデータ活用スキルの向上教育、データ分析に関するコンサルティングなどの支援も行っている。
 「データの活用を企業の成長サイクルにつなげていきたい」と、柴田氏は語った。

オージス総研 ソリューション開発本部 コンサルタント 小林 祐介 氏
小林 祐介 氏
オージス総研 
ソリューション開発本部
コンサルタント

 大阪ガスによる事例講演では、オージス総研 ソリューション開発本部コンサルタントの小林祐介氏が、「DUSH活動」におけるシステム開発・運用などに関する紹介も行った。オージス総研は、大阪ガス100%出資の情報子会社であり、大阪ガスの基幹システムの開発から運用まで一貫して携わっている。オージス総研とSAPジャパンは戦略的な協業を進めており、「DUSH活動」においても、BI(Business Intelligence)ツールとして「SAP BusinessObjects」が活用されている。
 小林氏は、BIツールはいかにデータ活用がなされるかが重要と語り、大阪ガスにおける実際の対応について紹介した。具体的には、「データ活用度合いの見える化」、「データ活用活動の展開」、「分析ステージの向上」という3方向からのアプローチが効果を生んでいるという。その一例として、トップダウンとボトムアップの二つの力によるプログラム推進や、ユーザーの分析要求に応え、ユーザー層に応じて効果的なデータの見せ方を用意するといったきめ細かなノウハウも公開された。

※SAP BI 導入事例紹介はこちら

■セッション 破壊的技術による非連続な改革

SAP ジャパン バイスプレジデント 桐井 健之 氏
桐井 健之 氏
SAP ジャパン
バイスプレジデント

 セッションでは、SAP ジャパン バイスプレジデントの桐井健之氏による講演が行われた。
 桐井氏は、「改善でなく最強の業務改革であるために」とし、それを実現するための「破壊的技術による非連続な改革」を提言した。
 破壊的技術の一つとして、リアルタイムの情報を瞬時に意思決定に活用できる技術を挙げた。たとえば、タクシーの位置情報であれば、それを収集し将来の渋滞を予測するのではなく、現在、何分で通過できたのかというリアルな状況共有を可能とすることだと話した。
 桐井氏はその点について、企業に集まるデータのバッチ処理や分析に、かつては多くの時間が必要とされていたが、現在ではわずか数秒でできる「インメモリーコンピューティング」と呼ばれる最新の技術が登場していることを紹介するとともに、意思決定やサービスの提供を迅速に行うためには、このような技術を活用した非連続な改革を行うことが大切だと話した。
 桐井氏は合わせて、SAPのインメモリーデータベースは、既存のリレーショナルデータベースに比べ1万倍のスピードで、企業のリアルタイムビジネスを支援することができると力強く語った。

■特別講演 どうなる2012年 日本企業の経営課題

東洋経済新報社 編集局長 田北 浩章
田北 浩章
東洋経済新報社
編集局長

 フォーラムのプログラム締めくくりでは、東洋経済新報社 編集局長 田北浩章が、日本経済の現状と課題について、20世紀と21世紀の比較、企業の不祥事の増加などに触れるとともに、最強の業務改革を推進するための背骨となる企業理念の重要性、真のリーダーの必要性について話した。

 先進的な業務改革に取り組む企業の事例なども含めた今回のマネジメントフォーラムの講演に、参加者は企業経営のヒントを得るべく興味深く耳を傾けていた。

限定PDFマガジンダウンロード 「破壊的技術による非連続な改革」SAPジャパン バイスプレジデント 桐井健之

限定PDFマガジンダウンロード 「破壊的技術による非連続な改革」SAPジャパン バイスプレジデント 桐井健之

SAPジャパン 公式サイト