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新しい成長は動くことからしか生まれない

金属疲労にむしばまれているこれまでの成長曲線にしがみつくのではなく、新しい成長曲線を作り上げていくために。「日本が元気になるためには、ノリを取り戻さなければならない」と強調しているのが、早稲田大学ビジネススクール教授の遠藤功先生だ。行動の連鎖を巻き起こしていくためにも、まず、リアルな人間が動き、世界のダイナミズムに触れることが欠かせない。自らの行動によって出会った気づきこそが強い主観を醸成し、未来志向への種に昇華しうる。“閉塞した時代”うんぬんといった誰かのせいにするのではなく、自らが次の新しい成長曲線を描くためにも、一歩を踏み出す時がきている。

周りの人間をムーブさせるためにも、まず自らが動く
遠藤 功

早稲田大学ビジネススクール 教授
ローランド・ベルガー日本法人 会長

教育者、そして経営コンサルタントとして多くのファンを持つ。中国の長江商学院でも客員教授を務めている。
著作も数多く、2010年だけでも『未来のスケッチ』『課長力』『「日本品質」で世界を制す!』『「見える化」勉強法』を刊行している。

― 遠藤先生は、日本が元気になるためには、みんなでノリを取り戻さなければならないと発言されていますね。

遠藤 そうです。というのも、いま日本に元気がない原因は他動的なものではないからです。高度成長以来の成長曲線がピークを過ぎて金属疲労を起こしているのに、いまだにしがみついているところに問題の本質があります。ですから、未来志向で次の成長曲線を描く以外に元気を回復する手だてはないわけですが、そのために重要なのは戦略でも組織でも制度でもありません。ノリなのです。ノリが良くなければ、未来の創造や変革は起こりえません。ところが、放っておくと、いまの事業環境ではますますノリが悪くなる。コンプライアンス、残業規制、一人一台のパソコン……仕事場を見渡せば、ノリにブレーキをかける要素ばかりが目につきます。だからこそ、余計に自覚して、みんなでノリを取り戻さなければならないのです。

― ノリを取り戻すには、どうすればよいのでしょう。

遠藤 ノリは動くことから生まれます。逆に言えば、動くことからしか生まれません。現地現物の精神で訪ね歩き、ダイナミックなリアルの世界に触れることによって気づきが生まれ、やってみよう、こっちから仕掛けてみようという気持ちに突き動かされるようになります。そして、その迫力が周りの人間をもムーブするのです。

 反対に動かなくても手に入るのが情報です。ノリが悪くても入手に不自由はしないので、現状ではデジタルの情報に頼ってビジネスを進めがちです。しかし、情報には周りをムーブする力がない。そこに日本の未来はありません。私は、もともと、日本人はラテン系でお祭り好きのノリの良い国民だと確信しています。その気になればノリを取り戻すのは難しいことではないでしょう。そしてノリさえ取り戻せば、勤勉さやチームワークの良さ、高い能力といった持ち前の資質が物を言ってきます。

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