創立115周年 特別広告企画 プロフェッショナルに訊く 経済・社会・個人の新たなる視点

BTM 観光文化学部 准教授 北村 嵩さんに訊く

BTMが本業への経営資源集中を可能に
 BTMの概念は米国で誕生しました。その背景には、1970年代後半に起こった米国の航空規制緩和があります。航空業界への新規参入の増加、運賃の自由化などが起こり、航空会社は、顧客企業に対して旅行会社を通さず直接価格を提示するようになりました。しかし、企業は自らが交渉にかかわるとその分負担も大きくなります。そこで90年代以降、米国で旅行会社が企業に代わって交渉を行うサービスを提供するようになったのです。これがBTMの始まり。旅行会社にとっては、コミッション(手数料)収入が減少するなかで、新たな活路を求めたわけです。

 当初、BTMは、割安な航空チケットの手配サービスから始まりましたが、その後、宿泊やレンタカーなどの一括手配サービス、さらには、出張の計画立案やデータの分析などのサービスを一貫して提供するようになりました。現在、米国の大手企業のほとんどが外部のBTMサービスを利用しています。

 一方、日本ではこれまで米国と違った形で導入が進みました。高度経済成長期、大手企業の多くは業務渡航関連の業務をインハウスエージェント(子会社の旅行会社)に委託していました。しかし2002年頃から、インハウスエージェントは事業モデルをBTMスタイルに変えたり、BTM企業に全面委託するようになります。その後、日本でもさまざまなBTMの企業や事業が浸透していきました。

 BTMを導入するメリットは、航空券を割安で購入できることだけでなく、出張業務に必要な人件費などのさまざまな間接コストを削減できることです。さらに、自社の社員が、いつ、どこに、どのような出張を行っているかが把握できるため、内部統制や危機管理にも貢献します。欧米ではM&Aにあたって、BTMの内容が問われることもあるほど。

 BTMの導入は、本業への経営資源集中を可能にするのです。今後は、グローバル企業を中心に、企業は世界各拠点で発生する出張業務を統合してマネジメントする時代がくるでしょう。社内の出張承認システムや出張に関わる社員のパーソナルプロファイルまで、BTMがカバーするようになるかもしれない。企業競争力の強化にBTMの導入は有効な施策の一つであり、企業は早期に取り組むべきだと考えています。
【びーてぃーえむ】
ビジネス・トラベル・マネジメント(Business Travel Management)は出張などの業務渡航に関する業務をトータルに管理する考え方。旅行会社などにアウトソーシングすることでコストの削減や業務の効率化を実現する。
きむらたかし
北村嵩(きたむら・たかし)
松蔭大学観光文化学部准教授。1965年明治大学法学部卒。日本交通公社入社。広報室広報課長、取締役法人営業東京支店長を歴任、2004年退社。09年4月より現職
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