広告特集 MICE
「MICE」の持つ可能性─企業競争力を高める注目の戦略─
低迷する日本経済の起爆剤として期待される新たな市場―「MICE」―の持つ可能性について、考察していきたい。
最近、MICE(マイス)という言葉を聞く機会が増えている。観光業界は、法人旅行を中心とするこのMICEビジネスに盛り上がりを見せている。
また、たとえば全社会議をリゾート地で行った結果、高いコミュニケーション効果や、モチベーション向上などといった予想以上の効果を実感している企業もあり、企業成長という視点からも注目されてきている。
MICEの意義とそのもたらす効果について、観光学に深い知見のあるセントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部副学部長の原忠之・准教授に聞いた。
原 MICEは、ミーティング(会合)、インセンティブ・トラベル(報奨旅行)、コンファレンス・コンベンション(国際会議など大規模会議)、イベント・エキシビション(展示会)の頭文字を取った造語です。
一般的な観光産業のマーケットでは、個人の観光旅行に対応するホスピタリティ産業市場がありますが、企業・団体に関連する会議やイベント分野も巨大な観光需要をもたらします。そこで、新たな観光産業のマーケットを認識するために、会議などの観光需要分野をまとめたMICEという言葉が生まれました。各国は、その巨大なMICE市場を獲得するための取り込みを加速させています。
■ MICE需要
原 企業が成績優秀な社員や、社外のフランチャイジー(フランチャイズ店のオーナー)らを招待して実施するご褒美の旅行です。彼らの意欲を高めるのが目的ですから、すばらしい経験として記憶に残るよう、豪華な旅行として企画されます。報奨旅行の参加者は「また参加できるように頑張ろう」と思うでしょう。また、企業は、旅行の様子を社内報などに掲載して、ほかの社員やフランチャイジーに「私も行きたい」と思わせることで、社内やフランチャイズの意欲を高めることができます。インセンティブの手段として、欧米では広く行われています。
原 私が勤務する大学のあるフロリダ州・オーランドでは、家電製品などの大規模な展示会が数多く開催されています。消費者の反応は大切で、企業は、こうした催しに、ますます力を入れています。新型車の発表のため、空き地にわざわざ臨時のテストコースを設ける自動車メーカーもあるほどです。
原 確かに、これまで日本では国際会議などに注目が集まっていたようです。しかし、規模は小さくても、頻度の高い会合の会場となることで、周辺のホテル、小売店に大きな経済効果があります。国際会議やイベントだけでなくMICE全体を、国の経済発展のカギを握る重要市場として認識することが大切です。また、海外では、一般にミーティングプランナー(MP)と呼ばれる、開催地も含めて会議や展示会などの催しまで内容提案する企画者がMICEそのものについて強い影響力を持っている点が特徴です。
たとえば、シンガポール、香港、台湾、韓国などは、会議場や展示場などのインフラ整備、MICEを誘致・コーディネートできる人材育成に、戦略的に早くから取り組んでいます。
■ もたらす開催誘致
原 MICE関連イベントの参加者は海外や他府県などの域外から開催地に来る人が多いでしょう。これにより、地域産業が潤えば、さらに地元全体へ経済波及効果は広がります。また、MICEを含む観光産業は労働集約型なので、雇用創出効果も期待できます。国レベルでみると、MICEは、海外から“外貨”を獲得する輸出産業の役割を果たします。輸出型製造業で繁栄した日本の次世代経済モデルとして、観光産業を牽引役と考えれば、その中でも、滞在中の消費額が大きいMICE需要は、お得意様ということになります。
原 MICE需要を取り込むためには、地域のニーズを大きく上回る会議場、展示場などの公共インフラが必要ですが、稼働率を上げなければ、地元は過剰投資のツケを払うことになります。MICE分野には、それを専門的にコーディネートするプランナーの人たちがいるので、まず彼らを対象に需要調査を行い、そのニーズに沿った形で、MICE開催地としてPRできるようにすることです。それには、調査の分析を行う観光ホスピタリティ経営学術界が果たすべき役割も大きいと思います。
また、観光産業が日本・地域経済に果たす役割に対する、市民の理解も大切です。観光産業、MICEの重要性を理解した市民のおもてなしの気持ちが、日本を訪れる外国人の良い思い出となり、観光地、MICE開催地としての国際競争力強化につながるでしょう。
MICEは観光業界やホスト地域への経済効果はもちろん、MICE参加者自身のリフレッシュ効果など、有形無形の多大な効果がもたらされる。
まさにMICEのもつ可能性には、計り知れないものがありそうだ。

原 忠之
HARA Tadayuki
米国コーネル大学博士号保有。
日本興業銀行本店課長、外務省中近東第一課課長補佐を経て、04年コーネル大学ホテル経営学部の客員助教授に就任。05年〜、セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部の准教授として教鞭を振るう。現在、副学部長。早稲田大学国際教養学部客員准教授、観光庁・観光統計国際動向調査委員も兼任。
専門は、観光の経済効果計算、観光統計と定量分析、観光産業人材育成、学部経営、ファイナンス等
