制作*東洋経済広告局企画制作部

戦略的
ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)
ベストパートナーズガイド

ビジネス・プロセスを外部へアウトソーシングするBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が注目を浴びている。
世界的に市場が拡大するなか、日本でも企業風土にあわせた活用がさまざまに活発化し始めている。
本特集では、まず「経営の視点で価値創造を伴うようにビジネス・プロセス全体を再構築することが重要」と指摘する慶應義塾大学の花田光世教授にご登場いただき、続いてBPOパートナー企業各社に最新の取り組みをうかがった。
BPOと市場規模
 昨年5月、経済産業省のBPO研究会の報告書が刊行された。筆者は委員長として研究会を担当させていただいたが、その報告書の内容を参考にしながら、日本におけるBPOの現状と課題を考察してみよう。

 そもそもBPOであるが、経理・総務・人事といったビジネス業務(ビジネス・プロセス)を、IT技術などを活用して外部へアウトソーシングするサービスを総称している。シェアードサービスがグループ企業間におけるビジネス・プロセスの共有化であるのに対し、BPOでは多様な企業が特定のベンダーによって開発されたビジネス・プロセスを共有・活用するという特徴がある。

 特に最近は欧米におけるニーズ・マーケットが拡大し、インド・中国の企業などもサービス提供業者として登場、グローバルで活発なBPOサービスが展開されるようになってきている。ところが、日本においては、間接部門の経費削減のニーズが大きいにも関わらず、必ずしも十分なサービスの活用が展開されているとはいえない。それが、前述の経済産業省の研究会発足に至る背景にあり、報告書は「我が国のBPOマーケットの活性化を図り、ひいては、BPOを利用するユーザー企業の生産性向上を後押しするために、日本のユーザー企業によるBPO活用状況の現状を把握し、課題を明らかにしたうえで、我が国のBPOマーケットの活性化に向けた方策を検討していくことが必要」と研究会の目的をまとめている。

 このBPO市場の大きさであるが、同報告書によると、2010年に4500億ドルの市場規模が見込まれており、オフショアアウトソーシング先の地域としては、07年でインドが11.5%、中国が4.4%と大きなシェアを占めている実態である。翻って日本での市場規模では10年に1兆円を超え、11年には1兆650億円と予測されている(IDC Japan)。このような国内外のマーケットの大きさに対して、日本企業はグローバル市場では他国のベンダーと競争を繰り広げている状況には必ずしもないという現状である。

グローバル市場での競争
 日本企業におけるグローバルBPOの現状をみると、国内ユーザーが海外に進出し、事業を展開する際、国内業務とのすり合わせ型・調整型で海外業務の一部を国内ベンダーが引き受けるにとどまってしまっているのが見受けられる。

 ITアウトソーシングの時からも繰り返し言われていたが、日本企業の経営の特色は、自社のビジネスを標準化・汎用化するというよりも、独自性を強調する志向性である。そのため、本来共通プラットフォーム・標準プロセスを活用し、コストダウンを見込める領域であっても、わずかに織り込まれた独自性に対応する圧力が加わり、持ちだし型の開発コストがかかったり、共通プラットフォームの修正を行うコストがかかり、必ずしもコストダウンにつながりにくいという特徴がある。また、コストだけでなく、パフォーマンスという領域でも、標準化のメリットよりもデメリットが強調されてしまうこともありうる。要は、他社で開発されたり、活用されている資産活用の方法や価値創造のメカニズムを積極的に活用するという経営モデルを定着させるのに苦労しているようだ。
花田教授
慶應義塾大学総合政策学部教授
花田光世
Mitsuyo Hanada
1971年慶応義塾大学文学部卒。南カリフォルニア大学大学院Ph.D.-Distinction取得。
人的資源開発論・国際経営論、特に国際人事システム論・新人事組織設計論を中心テーマとして研究。