2009年9月14日、投資家のバイブルとしておなじみの『会社四季報』が、iPhone/iPod touch用のアプリケーションとなって新たに誕生した。翌15日には発売を記念し、俳優・タレントの細川茂樹氏を迎え、『会社四季報』編集長・安西達也、同誌前編集長(『週刊東洋経済』編集部長)・田北浩章によるトークセッションが開催された。テーマは、「四季報をもっと身近に、もっと手軽に」。会場のアップルストア銀座には約100人のビジネスマンや個人投資家たちが集まり、熱心な様子で耳を傾けた。
まず話題に上ったのは、『会社四季報』の特色について。「創刊は、二・二六事件が起きた1936年」と田北前編集長が言うように、その歴史は古い。以来73年もの間、企業情報誌としてトップシェアを誇っている。「強みは、日本国内上場企業約3800社すべての最新情報を年4回、3カ月ごとという短いスパンで評論し続けている点。およそ120名の記者取材に基づく、今期と来期についての独自業績予想も大きなウリ」と安西編集長は話した。
業積予想を強気に出す会社もあれば、逆に慎重に出す会社もあり、掲載企業のうち約半分強の会社予想が四季報予想と異なっている、という。「投資の面から見ると、四季報予想が会社予想を上回る銘柄がいい。“会社より四季報予想が強気の銘柄”という巻末特集は、投資判断の材料として読者から非常に好評」と田北前編集長が投資の秘訣を語った。「発売中の『秋号』からは、個々の企業情報ページにも会社予想と四季報予想を並べて掲載している。両者の予想にどれだけズレがあるのか、一目で比較できるようになった」と、安西氏も企業データの見どころを解説した。
実際の予想の的中率が気になるところだが、四季報予想への信頼は裏付けがある。「どこの業績予想がいちばん当たるのかという大学研究があり、それによると的中率は、四季報予想、会社予想、アナリスト予想の順に高いという結果が出ている」(田北)。四季報予想的中率が高いことについて細川氏は、「“家電芸人”は、家電メーカーに買収されてしまうと特定の家電についてしか語れなくなるし、家電の悪いところが言えなくなってしまう。何かを正しく評価するには、立ち位置を考えて距離を保たなければいけない。同じように、『会社四季報』は読者ありきという立ち位置を明確にしているからこそ、予想的中率が高くなるのでは」と「家電批評」ならではの分析をした。
細川氏が詳しいのは家電だけではない。実は以前から資産運用にも造詣が深く、『会社四季報』を愛読しているのだという。「これだけの情報を個人で集めるのは無理。自分が持っている銘柄が増益かなどの情報がすぐにわかって非常に投資の参考になる。毎回書き換えられる特色欄を見るのも面白い」(細川氏)。『仮面ライダー響鬼』への出演が決まったときに、「自分が主演なら間違いない」と東映株を買ったこともある、という。実際の買値や売値、利益などの投資内容を披露し、会場を大いに沸かせた。
長きにわたり多くの投資家に支持される『会社四季報』にも、一つ難点がある。膨大な情報を掲載しているので当然ではあるが、はっきり言って重い。「通常版は1キログラム、ワイド版は2キログラムもある。残念ながらポータブルではない」と安西氏も嘆く。そこで注目なのが、今回発売されたiPhone/iPod touch版『会社四季報』。“ポケットに入る四季報”をコンセプトに、雑誌版『会社四季報2009年4集秋号』に掲載している約3800社の上場企業データをすべて収録した。さらに、iPhone/iPod touchならではの操作性を最大限に活かし、移動中でも片手で情報収集できるようにした仕様が大きな特長となっている。たとえば、画面をタップ(軽くたたく)したり、ピンチ(つまむ)することでそのページの拡大縮小も自在。また、上下左右にフリック(はじく)すると証券コード順に企業情報が表れるので、雑誌のページをパラパラとめくるように使うことができる。iPhone愛用者だけでなく、アナログ人間にもこの“紙感覚”をベースとした簡易な操作性は非常に魅力的だろう。
雑誌版にはなく、iPhone/iPod touch版にしかない機能もある。企業情報は会社名と証券コードから検索ができ、気になる企業は「Myポートフォリオ」で管理できる。企業情報ページからワンタッチでその会社のホームページへ飛べる機能は、より詳しい情報を引き出すのに便利だ。ウェブ表示はアプリ内とSafari表示が選択でき、後者を選べばリンクをメールしたりブックマーク機能も活用できる。また、企業の本社所在地をアプリ内の地図やGoogleマップで表示する機能も搭載しており、多忙な営業マンなどにとって必携のアプリケーションとなったといえる。「これはすごい。投資をやっていない人間、たとえば就職活動中の大学生にとっても非常に便利なのでは。Googleが入っているので会社訪問するときには本社までの経路検索ができるし、航空写真も表示される。僕が就職活動をしていた大学生のときにこれがあったら違う人生があったかもしれない」(細川氏)。
営業や就職活動などさまざまなシーンで利用できるこの『会社四季報』アプリケーションは、iTunesのApp Store、もしくはiPhone/iPod touch内の「App Storeアプリ」から2000円(税込み)で購入できる。毎号個別のアプリケーションとして販売され、今後は有効なアプリがあれば連動を順次検討し、アップグレードしていく方針だという。
話題が途切れることなくトークセッションは盛り上がり、予定の時間をオーバー。和やかな雰囲気の中、質疑応答とプレゼント抽選会が行われ、記念イベントは幕を閉じた。
まず話題に上ったのは、『会社四季報』の特色について。「創刊は、二・二六事件が起きた1936年」と田北前編集長が言うように、その歴史は古い。以来73年もの間、企業情報誌としてトップシェアを誇っている。「強みは、日本国内上場企業約3800社すべての最新情報を年4回、3カ月ごとという短いスパンで評論し続けている点。およそ120名の記者取材に基づく、今期と来期についての独自業績予想も大きなウリ」と安西編集長は話した。
業積予想を強気に出す会社もあれば、逆に慎重に出す会社もあり、掲載企業のうち約半分強の会社予想が四季報予想と異なっている、という。「投資の面から見ると、四季報予想が会社予想を上回る銘柄がいい。“会社より四季報予想が強気の銘柄”という巻末特集は、投資判断の材料として読者から非常に好評」と田北前編集長が投資の秘訣を語った。「発売中の『秋号』からは、個々の企業情報ページにも会社予想と四季報予想を並べて掲載している。両者の予想にどれだけズレがあるのか、一目で比較できるようになった」と、安西氏も企業データの見どころを解説した。
実際の予想の的中率が気になるところだが、四季報予想への信頼は裏付けがある。「どこの業績予想がいちばん当たるのかという大学研究があり、それによると的中率は、四季報予想、会社予想、アナリスト予想の順に高いという結果が出ている」(田北)。四季報予想的中率が高いことについて細川氏は、「“家電芸人”は、家電メーカーに買収されてしまうと特定の家電についてしか語れなくなるし、家電の悪いところが言えなくなってしまう。何かを正しく評価するには、立ち位置を考えて距離を保たなければいけない。同じように、『会社四季報』は読者ありきという立ち位置を明確にしているからこそ、予想的中率が高くなるのでは」と「家電批評」ならではの分析をした。
細川氏が詳しいのは家電だけではない。実は以前から資産運用にも造詣が深く、『会社四季報』を愛読しているのだという。「これだけの情報を個人で集めるのは無理。自分が持っている銘柄が増益かなどの情報がすぐにわかって非常に投資の参考になる。毎回書き換えられる特色欄を見るのも面白い」(細川氏)。『仮面ライダー響鬼』への出演が決まったときに、「自分が主演なら間違いない」と東映株を買ったこともある、という。実際の買値や売値、利益などの投資内容を披露し、会場を大いに沸かせた。
長きにわたり多くの投資家に支持される『会社四季報』にも、一つ難点がある。膨大な情報を掲載しているので当然ではあるが、はっきり言って重い。「通常版は1キログラム、ワイド版は2キログラムもある。残念ながらポータブルではない」と安西氏も嘆く。そこで注目なのが、今回発売されたiPhone/iPod touch版『会社四季報』。“ポケットに入る四季報”をコンセプトに、雑誌版『会社四季報2009年4集秋号』に掲載している約3800社の上場企業データをすべて収録した。さらに、iPhone/iPod touchならではの操作性を最大限に活かし、移動中でも片手で情報収集できるようにした仕様が大きな特長となっている。たとえば、画面をタップ(軽くたたく)したり、ピンチ(つまむ)することでそのページの拡大縮小も自在。また、上下左右にフリック(はじく)すると証券コード順に企業情報が表れるので、雑誌のページをパラパラとめくるように使うことができる。iPhone愛用者だけでなく、アナログ人間にもこの“紙感覚”をベースとした簡易な操作性は非常に魅力的だろう。
雑誌版にはなく、iPhone/iPod touch版にしかない機能もある。企業情報は会社名と証券コードから検索ができ、気になる企業は「Myポートフォリオ」で管理できる。企業情報ページからワンタッチでその会社のホームページへ飛べる機能は、より詳しい情報を引き出すのに便利だ。ウェブ表示はアプリ内とSafari表示が選択でき、後者を選べばリンクをメールしたりブックマーク機能も活用できる。また、企業の本社所在地をアプリ内の地図やGoogleマップで表示する機能も搭載しており、多忙な営業マンなどにとって必携のアプリケーションとなったといえる。「これはすごい。投資をやっていない人間、たとえば就職活動中の大学生にとっても非常に便利なのでは。Googleが入っているので会社訪問するときには本社までの経路検索ができるし、航空写真も表示される。僕が就職活動をしていた大学生のときにこれがあったら違う人生があったかもしれない」(細川氏)。
営業や就職活動などさまざまなシーンで利用できるこの『会社四季報』アプリケーションは、iTunesのApp Store、もしくはiPhone/iPod touch内の「App Storeアプリ」から2000円(税込み)で購入できる。毎号個別のアプリケーションとして販売され、今後は有効なアプリがあれば連動を順次検討し、アップグレードしていく方針だという。
話題が途切れることなくトークセッションは盛り上がり、予定の時間をオーバー。和やかな雰囲気の中、質疑応答とプレゼント抽選会が行われ、記念イベントは幕を閉じた。